「いちど店に入って気持ちをリセットしよう。」
ダンプカーにぶつけられそうになり
このまま運転できる精神でない。
そもそも祖母が今朝亡くなったばかりで、僕たちは平常でない。
お互い動転して息が詰まっていた。
コンビニでは喪主の叔父に頼まれていた
朝食のおにぎりをいくつか買う。
おにぎりの具は何を選べばよいか。
弟よ、ちょい待て。
魚肉は精進落としまで避けるべきではないのか
きっと叔父は気にしないが、祖父はめっぽううるさい。
いちおう気にかけてますの体は示しておこうと
ツナとか鮭とかは避け
真っ白いお込めに包まれたうめのおにぎり
赤く染まったシソのおにぎり
青く佃煮海苔などを混ぜ込んだをおにぎり
うす黄色いとろろこんぶでつつまれたおにぎりを選んだ。
その後は僕がハンドルを握った。
「あと10cm進んでいたら、僕ら死んでいたな」
いつもの100倍慎重に、アクセルをじんわり踏む。
「交差点に吸い込まれて行った。気づいたら赤信号だった」
と弟は言った。
「運が良かった。生き延びた。
祖母が助けてくれたのかな。」
今朝見た美しい真紅の太陽は
この先が見えている祖母からの
赤信号に気をつけろという警告だったのかも。
僕たちは、信号機の赤と病室からみた真っ赤な太陽が
重なって見えていた。
