6月27日の聴き耳club Bで扱ったリスニング題材は
Stunning Deathbed Confession (驚くべき死の床の告白)
皆さんはRoe v. Wadeというアメリカの裁判をご存じでしょうか。1973年にアメリカの最高裁(Supreme Court)が、堕胎禁止を違憲とし、妊娠中絶を合法とした有名な裁判です。Roeは原告でJane Roe、Wadeは被告のテキサス州ダラス郡の地方検事Henry Wadeです。Jane Roeは実名ではなく本当の名前はNorma McCorveyで、今回はこの女性が死の間際に驚くべき告白をしたという話題です。
1969年妊娠したが中絶できないMcCorveyは、中絶禁止法(abortion laws)と戦おうとしていた弁護士を紹介され、裁判の原告になることを引き受けます。これがRoe v. Wadeで、最終的に最高裁が中絶を認める判決を出します。
ところが、1990年代に、McCorveyは福音主義のキリスト教(evangelical Christianity)に入信し、中絶反対立場を取るようになり、Roe v. Wadeの判決を覆す戦いに加わります。
しかし、2017年死ぬ間際に撮影されたドキュメンタリーの中で、McCorveyは再び寝返ります。中絶反対の立場を取ったのはお金(50万ドル、約5,500万円)をもらったからだと告白したのです。それを彼女はmutual arrangement(双方納得の取り決め)と述べています。彼女はお金ももらい、相手は彼女をカメラの前に立たせ、言う内容を指示する、という取り決めです。
日本と違い、アメリカでは妊娠中絶は現在でも政治の争点です。裁判でもRoe v. Wadeが依然として争われています。そうした中、Norma McCorveyの告白は、中絶反対派、賛成派の双方に少なからずインパクトを与えたようです。