時間があれば出来るだけ入居者と外に出ることにしている。

個別リハビリを受け入れていただけない方でも、

散歩に誘うと同意される事がある。


外に出ることのメリットに精神の賦活がある。

「ふかつ」と読み、精神に活力を与えることだ。

外のいろいろな刺激によって、脳が活性化される。


風に当たり、植木の緑や季節の花々、子供の姿や犬を見ると、

入居者の表情が和らぎ、その顔を見て私も幸せな気分になる。

入居者のためと言いつつ、本当は自分の満足感を満たしていることは否めない。


景色を見ながら歩いていると、昔のことを思い出し、話し出す方も多い。

知らなかった事を教えて頂き、また次の方と話しを共有する。

私はリレーのバトンの役目をも担っているようだ。


他にも外に出て日光に当たることで、ビタミンDが体内で生成される。

ビタミンDはカルシウムを蓄えるのに役に立ち、

健康な骨を維持するのに欠かせない。


コロナで入居者も行動が制限され、緊急の受診以外は外に行けなかった。

2年が過ぎた頃だったか、入居者が骨折された。

高齢ではあったけれど、軽く介助して毎日トイレなどに行っていた方が、

転倒などないにも関わらず、骨折してしまったのだ。


長年、リハビリをして来たがこんな方には出会った事がなかった。

そして、二人目の骨折が出た時に私は、外出制限が影響したと強く思った。


もう2度とあんな痛い思いはして欲しくない。

防げるものは防ぎたい。

そう思いながら、毎日散歩や屋外でのリハビリを行っている。