昨日、入居者さんが「肩が痛むからマッサージをして欲しい」と、

介護スタッフに何度も訴えたようだ。

記録を見て行ってみると、待っていたかのように

介護スタッフから「マッサージして欲しいって言ってますよ」と言われ、

本人にも何度も「マッサージ、マッサージ」と言われて、

「私はマッサージ師ではないので、マッサージは出来ません」と言ってしまった。


私が仕事を始めた30数年前はリハ職は少なくて、

病院には柔道整復師やマッサージ師の方が多く働いていた。

関節を動かすなどで身体を触ると、

「マッサージしてもらったの?気持ちよかったでしょう」など、看護師が患者さんに話しかける。

その度に私は「マッサージではありません。関節可動域訓練です」と呟いていた。


リハビリと言う言葉が広まるにつれ、マッサージと言われる事は減っていった。

みんな私のやっている事を何と言えばいいのかわからなくて、マッサージと言っていたんだと

気づいたのはしばらく後のことだった。


「お仕事は?」と聞かれ「理学療法士です」が通じる世の中になってきたが、

わからない方には「リハビリをする人です」と答えている。

本当は違うのに。


Rehabilitation(リハビリテーション)とは、re(再び、戻す)とhabilis(適した、ふさわしい)から

成り立っている。

退院して家庭や仕事に戻るのもリハビリ、刑務所を出所して社会に戻るのもリハビリ。

破産した後、立て直せばリハビリ。復帰のイメージだ。


日本にリハビリテーションという言葉が入った時、

リハビリテーション=機能訓練のように広まってしまったおかげで、

「リハビリ」もすっかり和製英語になってしまった。

「違います」と言い続けてた私も、今では日本語になった「リハビリ」を多用している。


ちなみに肩が痛んだ入居者さんは、関節の動きが悪くなり、無理に動かしたための疼痛と評価。

肩関節の可動域訓練をして、痛みを減らしておいた。