コンコン
「お夕食のお時間です」


「あ はい 今行きます」


部屋を出ると蓮の姿は無くちょっとがっかりして
ダイニングへと向かう


「あの。。私1人でここは広すぎだと思うんですけど」


「お嬢様のお食事はここと決まっておりますので」


「皆さんはどちらで?」


「キッチンの方に使用人のダイニングがございますので
そちらで頂かせてもらってます」


「私もそっちで食べるのはダメですか?」


他に居た使用人もこの言葉にはびっくりした


「何を滅相もない!

お嬢様と私たちとでは身分が違いますので」


「お義父さまはそうかもしれませんが
私は一般人ですので 皆さんと何も代わりませんよ?」

と微笑んだ


「でも・・」

困っているメイドを見て執事が現れた


「お嬢様 あまりわがままを言われては」


「でも 私は再婚相手の娘で本当の娘ではありませんし。。」


「それでもこの家に来たのですから
お嬢様なのは変わりませんよ?」


「。。。しょうがないみたいなので諦めます
わがまま言ってごめんなさい」


と言って席を立ちメイドの女性に頭を下げた


「そんな頭を上げてください」メイドが困っていた


仕方なくキョーコは広いダイニングで1人食事を取ることになった

しかしこの事はキッチンに集まる使用人達の耳にすぐ入り


「ほんとアリサお嬢様良い人よね」


「私 頭下げられて謝られちゃった」


「何であんな母親からあんな素敵な娘が生まれたんだろう・・」


キッチンの片隅で話しを聞いていた蓮は嬉しく聞いていた

あんな子他に絶対現れない そして絶対他に譲れない・・

どう動くかな 早く自分のものに.....


「何考えてるんだ 蓮」


「あぁ 社か これから先の事だよ」


「何か嬉しそうな顔してるな」


(俺はいつどう動いたら良いと思う?)

(今はまだ彼女も学生だ あと数ヶ月待ったほうが)


実はこの社という男
蓮の付き人で

蓮をサポートするために一緒にこの家に仕えていた
他にも蓮のサポートで運転手もそうだった


キョーコが夕食を終わらせ
ダイニングに居る使用人全てにお礼を言い部屋に戻って行った


「毎日 必ず挨拶してくれるなんて・・」
使用人たちに絶大な人気を誇っていた


部屋に戻ると


蓮さんに避けられてるのかな。。いつも現れるのに
今日はダイニングにも夕食後のここにも来ない
仲居勤めがやっぱり良くなかったのかな。。
でも本当のことだからしょうがないし

お風呂にでも入って寝ようかな


部屋にあるシャワーと浴槽を使い着替えを済ませ
ベッドに横たわる


コンコン
「はい?どなたですか?」


「蓮です」


「はい。。どうぞ」


「あっ・・お嬢様もう寝るところでしたか すみません」


「いえ 何でしょうか?」


「特に用は無いのですが・・」


「用も無いのにおかしいですね
私はてっきりさっきの話で避けられてると思ってました」


「そんなっ! たまたま仕事があって・・」


「まぁ あんな話聞いて誰もが驚くと思いますし
気にしていませんから」と笑う


少し話をすると

「それではお嬢様 おやすみなさい」と頭を下げると


「いえ いつもありがとうございます
おやすみなさい 蓮さん」と頭を下げ微笑んだ


ドアーを閉め部屋から出てきた蓮は


しまった・・避けられてると思われた
しかもさっきは少し好意的だったのにまた壁が出来たような・・・



翌朝 蓮が起きキョーコの元に向かったがすでに居なかった


「アリサお嬢様は?」


「あぁ 仕事があるって早くに出かけたよ」


そんなの聞いてない 本当に壁を作ったのかも
すぐさま社に電話をし


「多分 お前が着いて行ってるんだろう」


「当然! 蓮なんで来なかったんだ?」


「いや 全く知らなくて通常通りに行ったら居なかった・・」


「しっかりしてくれよ? アリサお嬢様の付き人なのに」
と笑う


「何で社は分かったんだ?」


「俺はスケジュールを管理してるからだな」


「・・・俺に教えてくれも良かったんじゃないのか・・」


「付き人が知らない方が問題ある気がするけどな」とニヤッと笑う


ため息を吐くと
「で 何時に帰ってくる予定なんだ?」


「仕事の後に時間あれば学校にって言うんだけど
まぁ 無理だろうから夕方には帰れると思うぞ」


「分かった」


キョーコの帰りが待ち遠しい蓮は玄関の近くで
ウロウロと歩いていた


遅い・・夕方って言っててもう夜じゃないかっ
実際は現在夜の8時を過ぎていた


しばらくするとキョーコが帰ってきた


『お帰りなさいませアリサお嬢様』
いつものように使用人が出迎え挨拶をしてくれる


「ただいま帰りました いつもありがとうございます」
キョーコがみんなにお辞儀をし微笑む


「お帰りなさいませ お嬢様」蓮が近づき挨拶をする


「蓮さん ただいま」と微笑む


キョーコが荷物を持つと蓮が奪い部屋に運ぶ


「そんな軽い荷物 わざわざ大丈夫ですよ?」


「いえ これも仕事ですから」と微笑んだ



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