桐朋学園で師事した
ピアニストの林秀光先生の事を
折に触れて思い出します

林先生は
指揮者の小澤征爾さんと共に
桐朋学園で学ばれました
(桐朋の一期生男子は計4名、残り2名は
声楽の村上綜さんとヴァイオリンの堀伝さん)

林先生がジュリアード音楽院に留学中
小澤さんが林先生の下宿先に
遊びにいらしたという
お話しを伺った事があります

今年2月に小澤さんが亡くなられた時
もう何年も前に亡くなられた林先生の事を
おふたりの友好関係に思いを絡め
考えていました

私が大の小澤征爾ファンな事をご存知で
そういった思い出話しをしてくださる時は
厳格なレッスンの合間に
柔らかな表情を見せてくださいました

私は小澤さんと林先生との友情のお話しが
大好きでしたし
普段は音楽に大変厳しい林先生が
お優しくなられる感じも嬉しかったです

林先生から学んだ音楽のノウハウは
たくさんありますが

それ以上に
今でも強く心に残っているのは
林先生の奥様がお話しになられた
林先生のご自宅でのお姿です

久我山のご自宅のレッスン室で練習を終え
部屋から出ていらした林先生が
「今日も新しい発見があった」
(ご自分の音楽に)と
高揚した様子でいらしたというエピソード

このお話しは
林先生から受けたどの教えよりも
私の心に深く根付き

今にいたっています

そして私もその体験をする度に
先生のお気持ちと
一緒になれる気がするのです

今日も又
練習を経て、新しい発見がありました

音楽をする上で
これ以上の喜びはありません

上手く弾けるよりも
理想の演奏が出来上がるよりも

新しい気付きがあった時の
音楽の喜びは格別です

この体験がしたくて
おそらく来る日も来る日も
私達は練習をするのだと思います

ピアニストの藤田真央さんも
師事された
ピアニストの野島稔さんの言葉を
著者にしたためられていましたが

まさにこれなのです

「音楽を学ぶ以上に、幸せなことなど
あるのでしょうか」と
野島稔先生は仰られていたそうです


おこがましいながらも共感の極みです