作家で精神科医の加賀乙彦さんが
老衰のため1月12日に
お亡くなりになられました

加賀さんの「宣告」は
これまで読んだものの中で最も
心に残る作品のひとつでした

遠藤周作さんの作品と並び
58歳でカトリック信徒となられた
加賀乙彦さんの作品は
私の信仰の道行きに
無くてはならない導きとなりました

又、敬愛するもうひとりの
精神科医で文筆家の
神谷美恵子さんの作品との出会いも
加賀乙彦さんが館長を勤められた
「軽井沢高原文庫」にありました

思えばこういった方々の作品のほとんどを
20代〜30代前半の間に知ることができたのは
大変に幸福なことでした

カトリック信徒としての読書の始まりは
ヴィクトール・フランクルの
「夜と霧」からですが

その後に触れることになる
加賀乙彦さんらの作品は
私の精神を育み形成する時期に不可欠だったと
思っています

彼らの作品は私の体に染み付いていて
その作品に何を思い、どう感じたかを
具体的に細かく思い出すことが出来ます

作品が自分の中に生きているという感覚

これは「哲学」を持った作品にしか
見い出せないものです

若い頃の私も
そして今も尚
これらの作品に心酔しています

人生の指針をそこにあずけることが
できる程に
加賀さん達の書かれたものに対する信頼は
絶大でした

加賀乙彦さん
ありがとうございました

心よりご冥福をお祈りいたします