昨日から始まった『未投稿発掘シリーズ』

今回は着物をメンテナンスした時の話。


この時の詳細は何話にも渡って載せたので『今更』な感じなのですが、当時、だいぶ怒っていたのですね。


この時の呉服屋との付き合いは止めました。

そして、今、別の呉服屋の企画で、着物を洗いに出してます。これもまた呉服屋の戦略なんだとは思ってますが、この時の経験があるので、そう容易く引っかからずに帰ってきました。(この話は明日アップします)何より、先立つものもありませんしニヤニヤ



さて、当時書いた記事を。
ちょっと長いです。
メンテナンスをお考えの方、呉服屋さんの姑息なやり方に引っ掛からないよう、どうぞお気をつけくださいませ。

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若い頃から着物に親しんでます。
和裁にも手を出しましたし、日舞もやりました。

祖母が着道楽だったようです。
が、祖母が着物を着ている姿を見たことはありませんし、着物好きだったなんて全く知りませんでした。

どうしたもんだか…血、なんですかね。

さて、
個人の呉服屋さん、どんどん無くなってますね。
そうすると、デパートなどの商業施設に入っている大手の呉服屋さんに色々お願いすることになります。
これまでの経験からすると、デパートに入っている大手の呉服屋さんでは足袋や帯揚げなど、ちょっとした和装小物を求めるにはちょうどいいですね。

お直しとなると、大手はどうなのか…

もちろん、やって頂けるのならどこでもいいわという方は大手だし、煩わしい付き合いも無さそうだし、とてもいいとは思います。

ですが私には合わなかったみたい。

やはりね、
納得のいくまでとことん悩んで付き合って欲しいです。


ある着物のメンテナンスでは八掛を替えることにしたんですが、もっと時間が欲しかったです。

どんどん急かして契約して…
私はこのスピード感には付いていけません。


また、あれよあれと色々付けられて加工することになっていて…
本当に必要なものでしょうか。


特に『着物を二つに切って間に布を足す』
という提案には正直、執念というか恐ろしいものを感じました。

「これではおはしょりが出ない」という理由でしたが、その丈で長年着てきたので、出ないということはないのです。

要は腰紐を締める位置にあるのですが、洋服の上からちょっと羽織った時に店員さんが腰紐を結んだ位置にかなり違和感を感じました。ウェストに近いんです。
もしかしたら、それも戦略だったのかもしれませんね。高い位置で腰紐を結んだら、おはしょりが少ししか出ないのは当然のことです。

術中にハマって危うく着物を真っ二つにしてしまうところでした。
わざわざ病気を作って、こちらの出費を増やしてるようなものです。



そしてね。

不安を煽るのは何なのでしょう。
これが一番腹が立ちました。
やり方が姑息ですよ。

これをやらなかったら、仕上がりが良くなくなりますって。

昔ながらのやり方のみで仕上がりが良くなくなるのなら、それは腕が無いと言っているようなもの。

不安を煽って、加工を上乗せ契約させようという魂胆。ミエミエです。


これまで個人商店さんとはお付き合いはあったのですが、こちらが引っ越したり、(ご高齢で後継者がなくて)あちらが辞めてしまったり。


個人の呉服屋さんのいいところは、相談に乗ってくれること。

着物は作ったらお終い、というものではないのですね。

特に、着物好きに起こる現象なんですが、
着物って、あちこちから集まってくるんです。

そうするとね、いつ着たらいいか、どう着たらいいか分からないものがあったり、元の持ち主が付けたシミが譲り受けてから出てきたり、寸法が合わなかったり。

特に私を悩ませたのは
いつ、どこに相応しい着物?

祖母の花嫁衣装だった『丸帯』
どうしたらいい?

そして最近では、
娘の卒業式で着せる袴、どうしたらいい?

これは個人商店ではない呉服屋さんに相談しましたが相談にならず。個人の呉服屋さんだったら今頃、どうするか決まってるでしょうね。


大手は自分たちの利益にならないこと、マニュアルにないことはしない。

一人ひとりの身体やTPOに合った着物を作っている以上、着物にまつわる悩みはそれぞれです。
相談会といっても、契約しないという選択肢は有り得ないといった感じでした。相談した結果、辞めとくわ!もあるわけでしょ。

なのに頼んでもない、こちらが問題視してないことを取り出し大袈裟にして不安を煽り、あれよあれよと色んな加工が付け足されてました。

今回、他所で見積もりを取っていたこともあり、着物に関して全く知らないわけでなく、引越しやら何やらで色んな呉服屋さんとのお付き合いをしてきた経験から、


これはおかしい。色々付け過ぎ。値段が高過ぎ。

そう思いました。


思っていた額から3倍以上でしたからね。


新潟から来た先生に見てもらうっていう相談会でしたが、考えてみたら、その先生の旅費や宿泊費、お給料も上乗せしてあるんですものね。もちろん店員さんのも、お店の利益も、中間マージンも色々と。

大手の呉服屋さんの店員が着物を見れるわけではないのですよ。

個人の呉服屋さんでは、その店主が着物に精通してますから、わざわざ遠くから先生とやらを呼ぶ必要もないわけです。


で、これをやりましょう、あれもやりましょうって言われるままにしておいたら、とんでもない額。

これは必要ですよ、これをやらなかったら仕上がりが…

なんて言われたら、大抵の人がお願いするでしょうね。
だって、みんな着物が好きなんですから。
好きなものを目の前に人質に取られているようなものです。

そして
みんながみんな、着物に精通しているわけではない。
あれが必要、これもやっておかないと…
そう言われたら、専門家が言うことを鵜呑みにするのは当然。

で契約しちゃったら、仕方がないと諦めてしまったり。お金に余裕があれば別ですが。

何だかね、こういったことも手伝って着物離れが進んでるんじゃないかと思うのです。
着物離れを助長しているのは、こうした呉服屋さんでないの?自分で自分の首を絞めてます。

バブル期の頃のような商売の仕方では、お客さんが離れていくばっかりでないの?

今回、契約前に「ちょっと待って考えさせて」と言ったのですが契約せずに帰れる雰囲気でなかったのは確かです。(お店はそうは言わないでしょうけど)

こういう時はお店の方から
「では、もう少し考えてからにしましょう」
「今はやめておきましょう。いつでも待ちますよ」
そう言って頂けたら気持ちよくやり取りが出来たのではないかと思います。

個人の呉服屋さんでは、きっとこう言ってくれたでしょうね。長い付き合いが利益を生むと分かってるから。
だって、私の後には娘が控えてますよ。
卒業式、成人式、嫁入り…
これからどんだけ着物が必要になるか。


母に相談し、一晩よく考え、削るものを割り出し、
次の日の朝一でキャンセルの電話を入れて、夕方には予定額まで絞った値段で契約し直しました。


言い値では、しばらく安眠できない生活になったと思います。

これでは本末転倒。
楽しむはずの着物で苦しむことになるんですから。

確かにね、無理をすれば出せない額ではなかったですよ。

でもね。
年に一度か二度しか着ない約50年前に作られた着物に30万円も掛けられないでしょ。現実に即した額じゃないです。
着物だけが楽しみならば、それはそれでいいでしょう。でもそうもいかない。子どもにもお金は掛かります、生活もあります、仕事ではドレスも必要…

紅型の着物はお願いしましたが、もう、この呉服屋さんとのお付き合いは無いです。
自分たちの利益のためにお客から搾取しようというのがミエミエ。もちろん、それが商売だからいけないとは言いません。でも、お客の着物好きを人質にとって、やらなくてもいいものまで付け足すやり方はいかがなものでしょう。非常に腹立たしいです。