お別れのとき。

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悲しいことは続く。

歳上の知人が、早くに逝った。



「ジャングル大帝」「タッチ」など数々の名作を世に送り出した、アニメーション監督で演出家で脚本家の宇井孝司さん。



船旅の中で知り合い

まん丸いメガネに被せた

まん丸いサングラスを

蝶の様にパカパカと開いて見せて

まだ幼なかった息子の相手をして下さった。



親子共々、可愛がっていただいた時間が愛おしく、急な出来事に心がついていかない。




知らせを聞いて、島に住んでいる共通の友人に

LINEを送り、代わりに手を合わせてくるからと伝える。



御霊前の袋をコンビニ袋にぶら下げたまま

道すがら皮靴のヒールを直しに店に寄ると

職人が私の衣服と持ち物を見てから

仕上がった靴を、再び引っ込めた。




一拍置いた後に

静かな細い息のような声で


「質感をマットにしておきますね。」と

靴を磨き直して下さった。




衣服と持ち物で

私がこれから何処へ出向くのかを思い計り

革靴のツヤの度合いまで

気にかけてくださる優しさ。


ドアを開け

お気をつけての言葉に見送られ

修理屋を後にし

歩む。


会話の一歩手前。

行程に優しさを、織り込んでくれた職人の

心に背中を押されながら

マットに仕上がった靴に身を乗せて

宇井ちゃんの待つ、隣の県へと急いだ。




25歳で婚約者を見送った時は

年の近い友人たちが

"どんな顔したら良いかわかんない"って表情を引っさげて葬儀場に来ていた。


ふざけて乾杯だけしていた仲間が1人減り

「それはそーとミクシィで聞いたけど

ホントーかよー実感がないぜー」って顔。


みんな喪服が似合ってなかったなぁ。

サイズもあってなかったし。




大人になるって

見送り慣れることなのだろうか。


繰り返し繰り返し

誰かを見送るうちに

御霊前の袋の合わせにモタモタしたり

ネットでググらずとも

お悔やみの言葉を伝えられる様になるのかしら。

そうなるのかしら。





宇井ちゃん

わたし、忙しいの。

次にお逢いするのは

多分きっと、かなり先よ。

ちょっと待っていて下さいね。

ししも、その時

こんなことやったよーって

お仕事のご報告が山ほど出来るように

頑張りますから。

また、そのときに...。



CeCe