「英語をもう少し話せるようになってから、カナダのワーホリに申し込もう」

 

こう考えている人は、少なくないと思います。

 

でも実は、カナダのワーホリでは、英語力を上げても、選ばれる確率は変わりません。選考が抽選だからです。そして運よく選ばれたあとにも、知らないと働ける期間が半分になってしまう条件があります。

 

私はカナダで学んだ経験があります。そしていまは、留学の相談を受ける仕事をしています。国際教育に関わって18年、「英語さえできれば何とかなる」と考えて海外へ出ていく人を、数多く見てきました。

 

その立場から、カナダのワーホリを考えている20代のあなたに、申し込む前に知っておいてほしいことを5つにまとめました。

 

 


1. 選考は抽選。英語力で、選ばれる確率は変わらない

カナダのワーホリは、申し込めば行ける制度ではありません。

 

希望者はまず、カナダ政府のオンラインアカウントでプロフィールを作り、「プール」と呼ばれる候補者の集まりに入ります。そこから無作為に選ばれた人だけに、申請への招待が届きます(カナダ移民・難民・市民権省、IRCC)。

 

学歴も、英語力も、仕事の内定も、選ばれる確率には関係ありません。日本の枠は、2026年は6,283人と公表されています。

 

いい知らせもあります。2025年4月から、日本人は生涯2回までカナダのワーホリに参加できるようになりました。1回につき最長12か月です。ただし、2回目もまた抽選です。

 

申請できるのは、日本人の場合は30歳までです。抽選のない国と比べたい人は、32か国の条件をまとめたこちらが参考になります。

 

ワーキングホリデー国一覧|32か国の発給枠と条件

 

では、抽選で選ばれたら、何が起きるのでしょうか。

 

 


2. 招待が届いたら、10日と20日しかない

招待が届いてからの時間は、思っているより短いです。

 

  • 招待が届いてから10日以内に、受けるかどうかを返事する

  • 受けてから20日以内に、就労許可の申請と書類の提出を終える

  • その後、案内が届いてから30日以内に、指紋と顔写真を登録する

 

10日以内に返事をしないと、招待は失効します。プロフィールを作り直して、もう一度招待を待つことになります。

 

20日で書類をそろえるのは、想像以上に大変です。特に警察証明(無犯罪証明)は取るのに時間がかかるので、カナダ政府も、招待を待つ間に準備しておくよう勧めています。

 

つまり、抽選を待っている時間こそが、準備の時間です。

 

準備を進めるなら、お金のことも先に知っておきましょう。

 

 


3. 政府に払うのは369.75カナダドル。プロフィールの提出は無料

カナダのワーホリで政府に払う費用は、次の3つです。

 

  • IEC参加料:184.75カナダドル

  • オープンワークパーミット保持者料:100カナダドル

  • 指紋と顔写真の登録料:85カナダドル

 

合計は369.75カナダドル、日本円で約4万1,500円です(2026年9月25日のレートによる目安)。

 

プロフィールを作ってプールに入るだけなら、お金はかかりません。費用を払うのは、招待を受けて申請するときです。

 

もうひとつ、入国するときには資金の証明が必要です。出発の1週間以内に発行された銀行の残高証明で、2,500カナダドル相当以上を示せるようにしておいてください。

 

ここまでは、知っていれば準備できる話です。次は、知っていても見落としやすい話です。

 

 


4. 保険が切れる日に、就労許可も切れる

カナダのワーホリで、私がいちばん伝えたいのがこの話です。

 

カナダに入国するとき、滞在する期間すべてをカバーする保険に入っている必要があります。保険は、医療、入院、本国への搬送の3つを補償していなければなりません。

 

そして、カナダ政府はこう定めています。保険の期間が滞在予定より短いと、就労許可は保険が切れる日に合わせて発行され、あとから延長することはできません。

 

たとえば、1年いるつもりで6か月分の保険にしか入っていなければ、働ける期間も6か月で終わります。「とりあえず半年分に入って、あとで延長すればいい」は、通用しません。

 

パスポートの有効期限が短い場合も、就労許可はそこで切れます。

 

こうした条件を、周りの経験者の話だけで判断すると、その人が知っている範囲でしか動けません。18年相談を受けてきて、結果を分けるのは英語力より、情報をどこから取り、どう計画したかだと感じています。

 

申請の流れ、入国時の確認、就労の条件まで、カナダ政府の公式情報をもとに全部まとめた記事はこちらです。この記事で書ききれなかった条件も、ここで確認できます。

 

カナダのワーホリは、申し込んでも行けるとは限らない|抽選の仕組みと、2026年9月からの新ルール

 

 


5. 6か月以下の講座なら、就学許可なしで学べる

最後は、学ぶことについてです。

 

カナダでは以前から、入国時に認められた滞在期間のうちに終わる6か月以下の講座であれば、就学許可なしで受けられました。ワーホリで入国した人も対象です。

 

さらに2026年9月4日からは、カナダ政府の臨時措置で、有効な就労許可を持つ人ならこの条件にかかわらず、6か月以下の講座を受けられるようになりました。この措置は2027年12月31日まで続きます。6か月を超える講座には、別に就学許可が必要です。

 

ただ、覚えておいてほしいことがあります。カナダのワーホリの就労許可は、雇い主も勤務地も自由に選べます。それは裏を返せば、自分で仕事を探し、英語で応募して、面接を受けて、選ばれにいくということです。

 

だからこそ、出発前に次の3つを考えておいてほしいと思います。

 

  1. どこで、何の仕事をするか

  2. 誰から情報を得るか

  3. 1年後に、何を持ち帰りたいか

 

自分がこのまま行っていいタイプなのか、先に準備をしたほうがいいタイプなのか。5つの問いで確かめられるようにまとめました。申し込む前に、一度試してみてください。

 

ワーホリに向いている人、向いていない人を判断する5つの問い

 

 


最後に

カナダのワーホリは、選ばれるかどうかを自分で決められません。

 

でも、選ばれたときに迷わず動ける状態を作っておくことは、自分で決められます。書類を準備すること。保険の期間を確かめること。英語で仕事を探せる力をつけておくこと。どれも、抽選を待っている間にできることです。

 

この記事が、あなたの1年を考えるきっかけになればうれしいです。

 

 


 

増本 圭 フィリピン留学コンサルタント「CebuGo」代表。国際教育に携わって18年、うち12年はアメリカ留学の支援を担当。自身も社会人になってから英語を学び直し、フィリピン、オーストラリア、カナダで学ぶ。現在は人材育成学会で、海外の学習環境が批判的思考の発達に与える影響について博士研究に取り組んでいる。 https://cebugo.jp/