
「オーストラリアのワーホリに行けば、稼げるし、英語も話せるようになる」
もしそう思っているなら、決める前に、この記事を最後まで読んでほしいと思います。
私はオーストラリアでワーキングホリデーをしました。そしていまは、留学の相談を受ける仕事をしています。国際教育に関わって18年になります。
行った側と、送り出す側。その両方から見て、20代のうちに知っておいてほしいことを書きます。
私がオーストラリアでしていたこと
私が働いていたのは、日本人がほとんどいない地域でした。
仕事はハウスキーパーです。週4日、1日4〜5時間。時給は36〜63豪ドルでした。
稼いだお金は貯めませんでした。現地でゆっくり過ごすことに使いました。
時給の数字だけを見ると、「やっぱりオーストラリアは稼げるんだ」と思うかもしれません。
でも、そこに最初の誤解があります。
「オーストラリアは稼げる」は、半分だけ正しい
オーストラリアの法定最低賃金は、2026年7月時点で時給26.44豪ドルです(フェアワーク委員会)。日本より高いのは事実です。
ただ、これは「これ以下で雇ってはいけない」という下限です。平均でも、目安でもありません。
同じオーストラリアでも、どこで、何の仕事をするかで、時給は大きく変わります。私が就いていた仕事は、最低賃金を大きく上回るものでした。
一方で、都市部で最低賃金に近い条件のまま働けば、家賃と生活費を払うだけで1年が終わります。
正確に言えば、「オーストラリアは稼げる」のではありません。稼げる場所と仕事があるのです。
では、そこにたどり着ける人と、たどり着けない人は、何が違うのでしょうか。
分かれ目は、英語力ではなかった
相談に来る方の多くは、「英語さえできれば何とかなる」と考えています。
18年、留学やワーホリの相談を受けてきましたが、私の答えは少し違います。
現地で動けるかどうかは、英語力では決まりません。
同世代とだけ付き合ってきた人は、英語がわかっていても、まったく違う環境に入ると緊張して頭が真っ白になりがちです。そして自分で道を開くより、誰かの体験談を頼って動くようになります。
体験談は、その人ひとりの経験にすぎません。それを頼りにすると、行動できる範囲も、手に入る情報も、狭いままになります。
反対に、日本で世代や環境の違う人と関わってきた人は、英語が少なくても、失敗を恐れずに動けます。
ここで、少し思い返してみてください。
この1年で、親や職場の上司ではない、20歳以上年の離れた人と、自分から話しかけて会話を続けたことはありますか。
もし思い当たらなくても、行けないという意味ではありません。ただ、行ったあとに何が起きやすいかは、知っておいたほうがいいと思います。
実際に、同じオーストラリアで、正反対の1年を過ごした二人がいます。
同じ国で、正反対の1年になった二人
特定されない形で紹介します。
Aさんは、出発前にフィリピンで英会話を鍛えました。オーストラリアに着いてからは、まず1か月だけ語学学校に通い、その間に車を買って、情報を集めました。
そして、作物の収穫時期と工場の採用時期を調べて計画を立て、オーストラリアを一周しながら週5日働きました。
結果、1年で約20万豪ドルを貯めています。ただしこれは、私が知るなかで最も多く稼いだ例です。平均ではありませんし、同じことをすれば同じ金額になるわけでもありません。
Bさんは、勧められた学校にそのまま入り、都市部のアルバイトだけで1年を過ごしました。生活費を稼ぐので手一杯で、旅行らしい旅行もできないまま帰国しています。
その後、英語を学び直して再渡航しましたが、周りのワーホリ仲間から聞く範囲の情報に頼る動き方は、変わりませんでした。
二人を分けたのは、次の3つでした。
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計画があったか:Aさんは、収穫や採用の時期という「外の事情」を調べて、自分の動きを合わせた
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誰から情報を得たか:Aさんは現地に長く住む人から、Bさんは同じ立場のワーホリ仲間から
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人の助言を本気で受け入れたか
特に二つ目は、思っている以上に大きな差になります。
周りのワーホリ仲間に聞くだけでは、気づけない条件
ひとつ、具体的な例を挙げます。
オーストラリアのワーホリで2年目のビザ(セカンドビザ)を取るには、指定された仕事を88日相当こなす必要があります。
ここで混乱しやすいのが、カフェやホテルなどの観光・ホスピタリティの仕事です。
同じ雇用主のもとで6か月を超えて働けるかどうかという別のルールでは、観光・ホスピタリティはオーストラリア全土が対象です。ところが、セカンドビザの条件として数えられる観光・ホスピタリティは、北部や遠隔地に限られています(オーストラリア内務省)。
つまり、シドニーやメルボルンのカフェで88日働いても、2年目のビザには1日も数えられません。
同じ立場のワーホリ仲間の話だけで動いていると、この違いに気づくのは、1年目が終わるころです。
この違いを含めて、2026年に変わった点を約10分の動画にまとめました。案内役は、私をモデルにしたキャラクターです。
【https://youtu.be/vwEHghgxQNM】
申請料や審査期間、税金まで含めた全条件は、政府の公式情報をもとにこちらで整理しています。
オーストラリアのワーホリ、2026年に何が変わったのか|申請条件と3年滞在の設計
行く前に、決めておいてほしいこと
ワーホリは、行けば何かが身につく制度ではありません。
オーストラリアで語学学校に通えるのは、1年のうち最大4か月です。残りの時間は、働きながら過ごします。だからこそ、出発前に次の3つを考えておいてほしいのです。
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どこで、何の仕事をするか
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誰から情報を得るか
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1年後に、何を持ち帰りたいか
情報の取り方について、ひとつ具体的な方法があります。到着してすぐの1〜3か月を、現地の語学学校に通う期間にすることです。
住む場所、仕事、交通。着いたばかりの人が一度に決めなければならないことは多く、焦ると判断を誤ります。語学学校に籍を置いておくと、生活の基盤を整えながら落ち着いて考える時間が取れます。
そのとき頼るべきなのは、同じように着いたばかりの留学生ではなく、現地に長く住んでいる学校の職員や先生です。地域の家賃の相場や、どの仕事が人を探しているかは、そこに住み続けている人でなければわかりません。
そしてもうひとつ。時間は思っているより限られています。日本人がオーストラリアのワーホリに申請できるのは30歳までです。2026年7月からは、韓国やドイツの若者は35歳まで申請できるようになりましたが、日本はその対象に入っていません。
ワーホリは何歳まで申請できる?30歳・31歳・35歳、国籍で違う上限
最後に
私自身のワーホリは、稼ぐことより、ゆっくり過ごすことを選んだ時間でした。それもひとつの選び方です。
大事なのは、稼ぐか休むかではなく、自分で選んだかどうかだと思っています。誰かに勧められたまま、周りに流されたまま過ごした時間は、あとから取り戻せません。
自分がそのまま行っていいタイプなのか、先に準備をしたほうがいいタイプなのか。5つの問いで確かめられるようにまとめました。行くと決める前に、一度試してみてください。
増本 圭 フィリピン留学コンサルタント「CebuGo」代表。国際教育に携わって18年、うち12年はアメリカ留学の支援を担当。自身も社会人になってから英語を学び直し、フィリピン、オーストラリア、カナダで学ぶ。現在は人材育成学会で、海外の学習環境が批判的思考の発達に与える影響について博士研究に取り組んでいる。 https://cebugo.jp/