リクエストがありましたので村長青年に起こった出来事を思い出しながら書いてみます。


20代の後半の話です。


とあるリゾートホテルで働いていた村長青年はある日、リゾート内の湖の畔にあるスパとカフェと多目的アリーナを有する施設、通称「ダークサイド」(この由来については別の機会にお話しします)の支配人に抜擢された。


そこでの私に課せられたミッションはズバリ「改革」だ。


私は手始めにカフェの売上を前年比200%を達成する目標を立てた。


立てたはいいが当時の村長青年はカフェの仕事に携わった事はなく、考えた挙句その頃爆発的にシェアを広げていた「星後珈琲店」という店に目を付けた。


今では知らない人のいない星後珈琲店だがその時は東京近郊にしか存在せず、知らない人のほうが圧倒的に多かった時代だ。


青年は星後珈琲店を何軒も梯子し何が売れているかリサーチすることにした。そして圧倒的な人気メニューは「カフェラテ」と「スコーン」なるものだと判明した。


「カフェラテ」と「スコーン」をこなれた感じで注文し(こ洒落た店で注文するとき不慣れなことが恥ずかしいと思ってしまうのは私だけ?)席に着いた青年は蓋の付いたカップの蓋を強引に剥ぎ取りカフェラテを一口すすってみた。


「うまっ!」と青年は小さく叫んだ。続けてスコーンを一口大に割って口に入れた。


「まずっ!」もちろん今度は口には出さなかった。


村長青年は心の中で「パサパサで味もそっけもないじゃないか・・・こんなもの食べてる周りの人はよっぽどの味オンチか格好付けたいだけなのか?」などと考えながら、スコーンによって全ての水分を奪われた口内を潤すためカフェラテをグビッと飲んだ・・・


「めっちゃうまっ!」その時、村長青年は真実(かどうかはわからないが)を知った。


「そうか。スコーンがもっと普通なら、身体はここまでカフェラテを欲しなかっただろう。スコーンはカフェラテをよりおいしく味わってもらうことをミッションとしているに違いない」


青年はその味を再現するためスコーンを大量に買い込み颯爽と星後珈琲店を後にした。


その2につづく