告知を受けた。
「再々発しています。」
「手術、放射線はできませんが、抗がん剤治療を行いましょう。」
「これからは、癌と共存していく事になります。」
そんな事、出来る訳が無いと思った。
ヒトパピローマウイルス陽性は、予後が良好であると言われている。
2016年に中咽頭がんステージ4と告知を受けた。
中咽頭の癌、首には多数の転移した癌が、
ヒトパピローマウイルスは、陽性だった。
当時は、ステージ4だったが、現在の指標に合わせると
ヒトパピローマウイルス陽性の場合は、ステージ2になる。
それぐらい転移していても予後が良好のはずなのだ。
だが、現実は違った。
化学放射線をしても、再発。
手術で取っても、再発。
数値データは、参考にはなるが、自分にとっては残酷にもなる。
予後良好とは・・・
家族親戚、先生二人と看護師一人いる中で、
40を過ぎた男が涙を流していた。
涙を流しながら訴えたのは、
いい事と悪い事の両方を知りたいと。
現実的な事実を伝えて得てほしいと。
前向きな話と、最悪な結果と両方を知っておいて
初めて、心構えが出来ると。
自分の人生観だった。
物事に対して、最高と最悪と両方を想定して生きるという。
治療をしても、再発。
その再発の手術を受ける為に入院して、
その入院中に、再々発した現実。
術後の感染症で、生死を彷徨い。
20日間寝ることも出来ずに苦しみ続けた日々。
予定外の手術を何度も受けたのに、再々発。
あの苦しんだ期間はなんだったのか?
未だ退院出来ずに、4か月以上の入院の最中だ。
そんなにも、強い癌と共存していくなんて無理だと強く思った。
先生に聞いた。
「余命はどのくらいですか?」
先生の回答は、
「半年から、1年です。」だった。