重病個室内の簡易トイレ。
場所は、重病個室の入り口横にある。
簡易トイレのプライバシーは、カーテン一枚。
排便の音も気になってしまう。
先日から、歩いてトイレに行けるようになった。
ちなみに、今もおむつは、履いている。
体は、重く、以前の様には歩けない。
一歩、一歩、歩く。
手術した右足がなるべく痛まないように、歩く。
ナースコールして、看護師さんが来てから歩く事になっていて、
トイレが終わった頃を、見計らって看護師さんが来てくれて、
ベットに戻るときにも、見守りが付いていた。
そんな日々を過ごしていたら、
看護師さんが、新たな提案をしてくれた。
「外のトイレを使ってみますか?」
重病個室の外にあるトイレで、
普段は、恐らく看護師さんや先生が使っているトイレ。
重病個室を歩いて、出るのは一か月以上ぶりになる。
そこまでの距離は、10メートルも無い。
そこまで、ゆっくり、ゆっくりと歩いて行けた。
トイレは、イベント会場にあるような一人用トイレだった。
扉をあけて、入る。
扉を閉めて、ゆっくりと座る。
太ももの筋肉を取っている事もあり、座る事もゆっくりの動作となる。
プライバシーが守られている状態でのトイレは、安心感が違う。
扉がある事を、こんなにも有難く思った事は無かった。
当たり前の事に、感謝していた。
歩いて、簡易トイレでするようになるまでは、おむつ生活。
おむつに排泄し、看護師さん達におむつを替えてもらう。
それは、おしりや性器を綺麗にしてもらう事も含まれている。
時には、トレイをお尻の下に引いて排便するようチャレンジも何度もしたが、
横になっている状態での、排便は一度も出せる事は無かった・・・
そんな状態から、一か月近くかかったが、
自分で排泄が出来る状態に戻った事が嬉しかった。
下の世話をしてもらう事を受け入れる事は難しかった。
ナースコールを押す度に、
対応してもらう看護師さん達には、感謝以上の気持ちになったし、
申し訳ない気持ちにもなった。
看護師さんに、下の世話に関する話を直接聞いたことをないが、
仕事とはいえ、簡単に出来る事ではないと思った。
相変わらず、39度前後の高熱も出ていて、体の状態は悪いが、
この日以降は、排泄をおむつにする事は無くなった。
そして、自分で排泄できるまで回復した事は、
重症個室を出る日が近づいている事をも表していた。