中咽頭がんの再発手術で、入院して一か月以上が経った。

 

遂に、リハビリが始まった。

 

実際は、先生方にリハビリを始めますとは言われてはいない。

 

ここまでも、先生から「リハビリ」という言葉を聞いたことが無い。

その後、正式に「リハビリ」という言葉を先生から聞くことになるのは、

もう少し後の事だ。

 

看護師さん達によるものだと思われる。

もしかしたら先生の指示だったかもしれないが・・・

 

重病個室のトイレに行くときに、

看護師さんが、

 「車椅子じゃなくて、歩いてみましょうか?」

                             と言ってくれた。

 

今までは、車椅子での移動だった。

 

健康体の人間が歩けば、数歩だ。

 

立ち上がるのも、看護師さんの見守りの中行った。

 

看護師さんの肩を貸してもらって、

        ゆっくりと一歩歩いた。

 

この一歩まで、一か月以上の時間が掛かった。

本来であれば、退院予定なんてとうに超えている。

 

右足の太ももは、筋肉を取っている。

その筋肉が再建手術で、咽頭になっている。

 

歩くことにより、右足の太ももが痛む事実を知った。

 

寝ている時には、ほとんど痛んだ事が無かった。

 

ただ単純に、足を動かす事が一か月近くほとんど無かったから

気が付かなかったのと、

 

全身状態が恐ろしく悪くて、

一部分の痛みを感じる事すら無かったのもあったと思われる。

 

 

肩を借りて、ゆっくりだが、歩いた。

 

 

ほとんど、看護師さんの力だったかもしれないが、

兎に角、歩けた。

 

 

重病個室の内の簡易トイレまで歩いた。

 

 

初めてのリハビリとなった。

 

リハビリではなくて、リハビリの前段階だろう。

 

 

ちなみに、この時もまだ高熱は出続けていた。

40℃を超える事は無くなってはいた。

 

 

一人で歩く事は禁止で、看護師さんがいる事が前提だが、

この日からは、簡易トイレまで歩くようになった。