2018年1月10日の手術(唇、下顎を真ん中で、離断し、
観音開き、咽頭切除、
右太ももの一部を使っての咽頭再建、
転移癌に対しての両リンパ節郭清術)。
ICU(集中治療室)を経て、11日か12日には、重症個室に。
状態は、絶望的。
気管切開の状況に、心が追い付いていない。
喉を切開して、装着しているカニューレで、呼吸をする事自体がきつい。
体は、まるで、バラバラになっているような感覚、きついとかのレベルではない。
腕を、僅かに動かす事すら、厳しい。
体には、何本の管が付いているのかも、認識すら出来ない。
そんな状況、時間も何も、分からない。
手には、ナースコールを握らされている。
ベットには、スマホを置いてもらっていた。
重い腕を、動かしてスマホを取った。
スマホには、ロックが掛かっていた。
スマホは、指紋認証。
だが、暫く動かさないと、パスワードが必要になる。
普段なら、簡単なパスワード入力作業が、辛い。
なんとか、パスワードを入力し、OKボタンを押す。
「パスワードが異なります。」と表示メッセージ・・・
もう一度、パスワードを入れるが、同じことに・・・
メガネをしていないが、スマホの距離なら見えるはず。
そして、酷い疲労感を、より感じて、諦めた。
今考えると、パスワードを間違えていたのではなく、
パスワードを入力しようとしている、指が正しく動いていなったと思われる。
入力しようとしている、パスワードが打てていなかったのだ・・・
そんな単純で、僅かな指を動かす事すら、出来なかった術後だった。
呼吸する事だけでも、精一杯な状況で、
スマホを見ようとする事自体が、土台無理な話だった。
ちなみに、
スマホのパスワードを正しく入力できたのは、
術後五日後の1月15日だった。