15時間にも及ぶ手術の後、ICU(集中治療室)に入った。

 

入ったと言っても、手術が終わった自覚もないし、入った自覚もない。

全身麻酔から、目覚めていないので当たり前ですね。

 

ICUで、覚えている事がある。

ICUで、覚醒した時がある。

 

ICUで、何時覚醒したのかは、分からなが、目を微かに、覚ました。

目がほどんど、見えていない。

メガネを外しているのでだからではなく、1メートルぐらいしか見えていない感じ。

両手を拘束されている。

足には、血栓防止の機械が付いている。

それが嫌で、仕方がない。

 

隣の部屋?の声が聞こえる。

今日の夕飯の話を二人でしていた。

 

ご飯が食べれなくなった自分が、隣にいるのにと、激怒した。

 

その後に、床ずれ予防の為にか、体を少し、動かす為に看護師さんが来た。

先ほど、食事の話が聞こえて、気分が悪かった事を伝えた。

看護師さんは、謝罪してくれた。

 

これが、ICUで、覚えている内容。

 

ずっと、現実だと思っていた。

 

 

でも、術後、三か月ぐらいたった時に、

あのICUでの覚醒は、幻覚だったと気が付いた。

自分が体験したという実感は、今でもある。

 

幻覚だったと気が付いた理由は、辻褄が合わない事だらけだからだ。

 

両手の拘束と、血栓防止の機械は、あり得るのではと思う。

でも、体の辛さを余り感じていない事。

なによりも、看護師さんと話をしている事

 

ICUに居る時に、話が出来る訳がない。

気道確保の為に、気管切開されている。喋れる訳がない!!

 

事実、ICUを出た後は、筆談でコミュニケーションを取っていた。

 

その事実を、三か月後に気が付くまで、本当に事実だと思っていた。

ICUで、幻覚を見る話は、後で知ったが、ある話らしい。

 

その幻覚が、頭では現実として記憶している。

寝ている時に見る夢と違った。

現実として、脳に刻まれているのが、幻覚だったみたい。

 

これを書いている今現在も、あれが、幻覚だったと理屈では分かっているが、

実感としては、現実だった感覚なんです。