喉の痛みが強くて、朝食が取れそうになかった。
なので、オプソ内服液を使用してから、食事を取った。
それくらいまで、痛みが強くなってきていた。
咽頭切除、再建手術の為に、この日(2018年1月9日)のお昼前に、入院。
部屋は、4人部屋。
術後は、一日ICU(集中治療室)。
その後に、看護師達の詰所奥にある、重病者専用の個室に行く予定。
以前に化学放射線治療で入院中に、病棟で散歩していた時、
看護師さんに、「あの重病者個室の前は、余り散歩しない方がいいですね。」
と言われていた場所である。詳しく覚えていないが、5室ぐらいあったと思う。
詰所に、病室が写るモニターがあり、看護師さんが30秒も掛からない。
部屋も、個室だが、廊下から丸見えで、プライバシーも全くない場所、
プライバシーとか言っている場合じゃない患者さんが入る場所。
まさか、その当時は、再度入院する時に、重病者個室に入るなんて思っても居なかった。
体と心の状態は、大分変化していた。
「早く手術したい」
理由はひとつ、とにかく喉が痛い。ずっと、痛い
早く手術して、楽になりたいと思っていた。
2017年4月の、頸部リンパ郭清術後を体験しておりながら、そう思っていた。
手術担当の看護師さんが来て、話をした。
そして、主治医がやって来た。
いの一番に、「喉が痛いです。早く手術したいです。」と告げた。
先生は、「粘膜ですからね。」と苦笑していた。
「オプソを使用しました。術後は使用できますか?」と聞いた。
先生は、「術後の痛みには、オプソは効果がありません」と。
そして、思いもよらない事を告げられた。
「PET検査の結果、首の右側に一つ転移が見つかりました。
なので、両側頸部リンパ郭清術を手術に追加します。」
絶句だった。「・・・・・」
その後、何を話したかは、覚えていない。
主治医に、手術お願いしますと言えたかすら分からない状態に。
2016年9月に、癌が分かった時には、
中咽頭の癌と、左側の首に無数に転移した癌があった。
化学放射線治療で、首の左側にあった転移癌は消えた。
今度は、右側に、転移が見つかるなんて・・・
痛む喉、首の右側に転移した癌、
癌は、恐ろしい速さで、襲ってきている事に、恐怖した。
先生が、2017年末に、電話で、一刻も猶予がないと言っていた事が分かった。
そして、怖くて、見ていなかった喉を見る事にした。
病室の鏡には、口の奥に、あるはずのないものが見えた。
大きくなった癌と、目が合った。
こんなにも、恐ろしいものを見た事がなかった、見るんじゃなかった・・・
入院と同時に、自分の状態が更に悪くなっている事を知った、
最悪の入院、そして予定よりも、長い入院が始まった事には、この時は知る事もなかった・・・