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小学4年生から5年生に上がる春休み。

その当時、ドロップハンドルのサイクリング自転車が子供達の間で流行っていました。

新しいもの好きの僕は欲しくてたまらなかった。

しかし、残念ながら当時の我が家にはそんな余裕もなく買ってはもらえません。

2歳年上の兄と話し合った結果、近くの毎日新聞でアルバイトをして買おう!って事になったんです(笑)

約34年位前の話です。

勿論、その当時に小学生でアルバイトしてる子なんて1人もいません。

兄と恐る恐る、新聞販売店の扉を開けて
『すいませーん、すいませーん。』と、呼びかけました。

小学生の僕は、出来ることなら留守であって欲しいという気持ちと、自転車が欲しいっていう気持ちが葛藤していたのを今でも鮮明に覚えています。

暫くして中から低く少しかすれた様な声で『何か~?』って…

もう心臓はドキドキを通り越して思考停止に(笑)

中から出てきたのは少し不精ヒゲを生やした小柄でガッチリとした体格のおじさん。

ーや、やばい。怖そう…ー

兄と僕は一瞬、無言になってしまう。時間にしてほんの1,2秒だったのか、それとももっと長かったのか定かではない。

その何とも居心地の悪い空気を破って、
『す、す、すいません。僕達、ア、ア、アルバイトさせて欲しいんです。』
と兄が切り出しました。

ー兄ちゃん、言ってまいよったー

アルバイトで雇って貰う為に来たのに、その時はもうおじさんの反応が怖くて走って帰りたいとしか考えていなかった。

兄の背中越しから、おじさんの顔を半分だけ目が合わない角度で見つめ、審判を待った。

つづく