巡礼をして12年もたっている。残っているのは巡礼手帳しかない。
後はパブリック情報を加工して旅の詳細を伝えるしか手はなさそう。
巡礼第一日目は、ピレネー山脈を越える。
実はこれが一番きつかった。
こんなに大変だとは全然知らんかった。あれ若かったから苦もなく登れたんだと思う。
なだらかに舗装された山道を大きく登り、大きく降る道だったと記憶する。20キロぐらいの距離である。
天気が良かったのが唯一の救い。
途中で、水を飲み、りんごをかじった。
前後に数人の巡礼者がいたように記憶する。足の遅いぼくはどんどん抜かれていった。
この頃は、販売車の巡回もなかった。(最近、巡礼した人のブログで見たような。)
とにかくヘトヘトになりながら夕方5時ごろ大きな巡礼宿に到着した。確か使わなくなった教会を巡礼宿に改装したものだった。
名前は、S’CONVENTUS HOSPITALIS ROSCIDEVALLIS と巡礼スタンプに書かれている。
日付は、4月24日となっている。
Roncesvalles と言うところだろう。
人生で最長10キロしか歩いたことのない人間が、平坦とはいえ20キロの大山を越えて歩いているのだ。疲れないはずがない。
もうヘロヘロ、フラフラ。疲労で目が霞んでいた。
受付を済まして洗濯をして熱い紅茶に砂糖を入れて一杯、二杯、三杯と飲んだ。
そして食堂に行って巡礼定食を食べた。10ユーロぐらいだったろうか。緑の豆をつぶしたスープを何回もおかわりした。誰か数人と食卓を同席したぐらいしか覚えていない。
後は速攻宿に帰って、大きくて高い聖堂の天井を見ながらすぐに眠りについた。
つづく