うだるような猛暑日のある昼時、ランチのため伊勢丹新宿店のタクシー乗り場の前を歩いていた。

タクシー乗り場に設置された木の棒を2本横にしたベンチには、神が特別にこしらえた一部の隙もない美しい彫刻のようなスーパーモデルの女性が二人座っていた。

 その二人の前を日本人の若いカップルが横切ったとき、スーパーモデルの女性の一人が美の極点の顔の眉を顰め、この世の憎悪を全て集めたかのような顔でそのカップルを睨んだ。

 

 瞬間、私はこのスーパーモデルの女性が何を考えているのか手に取るようにわかってしまった。

 

くそ暑い中、あのカップル、絶対これからセックスしに行くんだろう、くそ、羨ましい。。

 

 刹那、私はある真実に気づいてしまった。

私はこのスーパーモデルに恋に落ちてしまった、そして今後二度とこのスーパーモデルに合う事は無いだろう。

 

 ランチの帰り、同じタクシー乗り場の前を通りかかったが、相変わらずの暑さが更に温度を上げていたがやはりそのスーパーモデルはベンチにはいなかった。