Nico である。 (クリックすれば 50DPI サイズ)


一般には The End あたりが有名だが、ジャケも内容も Desertshore がいちばん気に入っている。

ジャケは表裏とも映画からの1シーンで、ちょっとボヤけた非現実的なシーンが、また良い。 わけのわからない、まわりの模様もオドロオドロしくて良い。 「好きな画像」の1枚でもある。


歌声だけで売っている人ではないので、歌がウマイかどうかはどうでも良い。
単調といえば単調だけど、安定しているといえば安定している。
ひ弱な声やメソメソした悲しい声の人は他にもいるが、地底から(地獄から?)流れ出るような物悲しい声は Nico に限る。


The Marble Index, Desertshore, The End の3作は、演奏やアレンジなどで John Cale が大きく関わっているが、個人的には John Cale のビオラやシンセの音はあまり好きではない。 この Desertshore は John Cale の出番が少なく演奏が最もシンプルだから良い。 Desertshore のあとに The End を聴くと、ゴチャゴチャしていて、明るくて能天気なアルバムに感じられるくらいだ。(The End ではドラムも入っているし、、、)


すでに故人だからそう思うのかもしれないが、Desertshore の Nico は、声に生気が無い。
Marianne Faithfull も地底からの声で、「いつかはい出してやる」という気力を感じるが、Nico の場合、「地底ってこれ以上沈まないから、楽だよねぇ」と聞こえてくる。

1曲目のタイトル Janitor Of Lunacy (狂気の世界の門衛) はベスト盤のタイトルにも使われているが、地底ではなくこちらのほうが言い当てているかもしれない。


ふだん、Nico を聴くことは無いが、ごくたま~に聴きたくなることがある。 別に悲しいときでもないし、心安らかなときでもないように思う。 ただ、人前で(特に家族の前では)聴く音でないので、ヘッドフォンでコソコソ聴いている。


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昨年、The Marble Indexと Desertshore にアウトテイク満載、2枚組で Rhino から出ていた。
5月に Camera Obscura が Warner から国内発売されるので、これが売れれば Rhino 盤(Warner 管轄?)も紙ジャケ化されないか、と思うが、、、無理かなぁ。