Birdman  


 先週、久しぶりにロック喫茶のような店に行った。

アルコールが主体の店なので、喫茶ではなく違う呼び方があるのだろうが、アナログ・オンリーで、リクエストもできる形態は昔のロック喫茶と同じである。 リクエストするとなると、「通(つう)ですね」という曲を選びたくなるが、「キメようとした曲ですね」と思われるのもいやなので、結局聴いているだけになり、同行した知人とあーでもない、こーでもないと話していた。  価格もショットバーくらいで良心的であった。椅子もあったし。

 その昔、京都に住んでいたころ「どらっぐすとあ」というロック喫茶があった。どうも喫茶店として届けてなくて、客は「知人宅を訪れて、何か飲みながらレコードを聴き、帰りにいくらかのカンパをした」ということになっていた。 客は靴を脱いで上がり、一面に長い毛足のじゅうたんが敷き詰められた薄暗い空間の適当なところに座ってひたすらレコードを聴いていた。 プログレやサイケ中心だったと思うがFaust とか王道からちょっと外れたものが良くかかってて、ここで初めて聴いて好きになったアーティストもいくつかあった。 店員になってしまった友人によると店名にちなんだブツが出回る日もあったそうだ。

 当時は雑誌などで大麻は有害かどうかという議論も盛んに行われていたが、リーガル・トリップと言って合法的トリップの方法もいろいろと紹介されていた。 大根の芯やバナナのスジを利用するものなどあり、手間がかからないものをいくつか試してみたが、効果がわかったのはナツメッグだけだった。 香辛料のナツメッグをオブラートにくるんで飲むだけで、1回で1ビンの3分の1くらいを飲んでいたと思う。 飲んで静かにしていると、それらしき感覚になるのだが、その際にいろいろと音楽も試してみた。

 いちばん合ったのがThird Ear Band Earth、とにかく音が心地よかった。その次はMcDonald And GilesBirdmanだった。 さらに昔、高校生のころ、Birdman の最後って何を伝えようとしているんだろうと何度も何度も聞いたことがある。ナツメッグのおかげで「ここまでくれば気分が良いよ」といわれているような気がして、それがこの曲の自分なりの解釈になった。

 先週の店で、いちばん良い傘を忘れてきたのに気がついた。 また寄ってみるか。