ジェンダーについて:レポート
ジェンダーについて
ジェンダーとは、純粋に男女の性別を表す言葉ではなく、性に関わる社会的な様々な問題を指すものである。
1.ジェンダーとは
一般にセックスは生物学的な性差(身長、寿命など統計学的な概念)を表すものとして世界共通語となっているが、ジェンダーはその性別によって引き起こされる男女の社会的な役割、性格、特徴、そこから起こる差別などと定義される。
2.ジェンダーに関する現状
ジェンダーの創始者は1950年代半ば米心理学者ジョン・マネーとされており、1960年代に米精神分析学者ロバート・ストーラーが発展させた。さて、一般に人間の性別はオスとメスの2つしかないがどのように定義されるのか。それは見た目の生殖器でなく生物学的に卵子を作る固体がメス、精子を作る固体がオスとされている。それらが結びつき、妊娠8週目以降から男性XYもしくは女性XXという遺伝子に分かれる仕組みである。しかし必ずしも男女の外性器だけに収まることのできない「ジェンダーアイデンティティ」や「インターセックス」と呼ばれる人が存在する。例えば、女性型の外見を持つが子宮がなく、睾丸がある「睾丸性女性化症候群」であったり、「クライツ・フェルター症候群」、「ターナー症候群」といったものである。またゲイやレズなどの同性愛者もいるが、全体から見た数はごく少数である。
次に男女間において発生するイベントとして、家庭(主婦、子育て、夫婦別姓)、仕事、犯罪(強姦、セクハラ)といったカテゴリに分けてみる。まず日本における主婦の誕生は明治の産業革命により農村の次三男が都会へ行ったことで仕事は出来ても、家事をやる人がいないことから主婦が生まれた。しかし賃金のない主婦は立場が弱い。また、子供の面倒を親が見るか、また男か女のどちらが見るかは生物の種類により様々であるが、人間においては親が面倒を見なければならない。これは子供の成長スピードが遅く子供一人では何もできないためと考えられるが、今の日本では母親が面倒を見ることが当たり前になっている。そして、現在の日本では女性が名前を変えて、夫の姓を名乗ることが家庭の一体感の証とされ主流となり、夫婦別姓は多くない。
次にブッシュマンなどの採集狩猟民は男が狩猟、女が採集と役割分担されているのに対し、農耕民の畑仕事や土器作りなどは国により異なる。日本では子供がいない限り、男女ともに働いていることが多いが、この要因としては電化製品の進化が考えられる。
次に、セクハラ、強姦、わいせつ、DVは女性の力が生物学的に弱いことを想定した男性が女性に対して行うことが圧倒的であるが、必ずしもそうではなく女性が少年に対して行うケースもある。現在の日本では、男性は仕事・力仕事、女性は家庭(家事、育児)といった暗黙のルールが存在している。
3.まとめ
現代のジェンダー論に影響を与えた仏シモーヌ・ド・ボーヴォワールは、女とは「他者」であり、現代は男を基準とした価値尺度社会であると提唱している。
例えば「女っぽい」、「女だから」、「女らしく」、「女のわりに優秀だ」という言葉がそれを表している。確かに女性はだんなを主人と呼んだり、親の介護は女性がしたり(理由は夫が高給だからだろう)、山の土木現場や相撲の土俵などに女性が立ち入ってはいけないなどあるが、いずれも法律で決められているわけではない。しかし近年、男性でも化粧やピアスやエステをするケースが増えており、今までの慣例が過去のもとのなりつつある。
またジェンダーが男性優位に働いている現状として、大手百貨店の労働問題を採り上げてみたい。この会社ではだいぶ前から男性は大卒、女性は高・短大卒を採用する方向が主流であり、男性は1年目から将来へ向けて管理経験をさせるのに対し、女性は販売関連業務だけに固定されている。そして女性は男性に比べ昇進速度が遅い上、収入面でも大きな差がつき、勤続20年時点では大卒と高卒では年収が2倍も異なる。「女性職務における決定権の希薄さや、自由裁量の余地の乏しさがあり、全体を見通すことができず労働組織への参加意識を持ち得なくなってしまう。」男性とは異なる組織文化におかれてきたことや、いつか結婚して辞めたいと考えている部分が女性の昇進意欲の低下に現れている。昇進意欲に関しては、男性はほぼ全員望んでいるのに、女性は必ずしも昇進を望んでいないケースが多い。これは、昇進することにより元同僚にも叱らなければならないことや、争いなく気楽に仕事をしたい、また特に既婚女性にとっては家事があり男性と同様に働けないことが考えられる。「日本的雇用慣行は男性労働者の長期雇用のみを前提とし、女性を雇用調整のための安上がりの用具としてきた」すなわち「雇用慣行自体が女性を主婦の家計補充的修了者として位置づけ未婚女性はその予備軍たる短期勤続者と見立ててきたのである。」近年は大卒男性(管理)、高短大卒女性(販売)の間に位置づけられる大卒女性も増えてきたが、現状は板ばさみ状態であり、また育成方針が定まっていない状態である。
しかし、1986年男女雇用機会均等法施行後、1997年と2007年にさらに改正されたことや、1999年男女共同参画社会基本法ができたことで、近年の「ホワイトカラー化、パート雇用拡大、高学歴化、晩婚化、未婚化、小産化が要因でサービス業、卸売り・小売業」を中心に女性の労働市場への参入は拡大している。ただ、M字型就労サイクルが示すように未だ子育ては女性が行うことが当たり前の日本では育児休業や保育園に預けることができない現状では限界がある。女性が戻ってこられるような育児休業、男性の有給、育児休暇の義務化、買取制度、国の社会保障制度や補償金の充実、男女賃金格差(女性は男性に比べ平均賃金の7割で先進国では最低ランク)、雇用形態に関係なく、残業や責任のある仕事を任せることが出来ない限りジェンダー格差は無くならない。最近はアイスランドにおける女性首相に同性愛者が選ばれ、少しずつジェンダーという立場が認知されている。
参考文献
女性労働とマネジメント 木本貴美子 ケイ草書房
ジェンダー入門 加藤秀一 朝日新聞社
図解雑学ジェンダー 加藤秀一、石田仁、海老原暁子 ナツメ社
文字数 2,434字