JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。
今週は、旅行作家・山下マヌーと、自然写真家・高砂淳二によるフォトエッセイ『色で旅するハワイ』より、一部編集してお送りしています。
今夜は、その第2夜。
ハワイの光に、ピンク色は実によく映える。
今宵はあなたを、目と心に効く癒しの色、ハワイのピンクの旅へ、あなたをお連れします。
番組WEBサイトでは、高砂淳二が撮影した写真も、ご覧いただけます。
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これほどまでに、ピンクの似合う場所は、ハワイの他には無いと思う。
ピンクのビーチというのは、他にもあるし、行った事がある。
メキシコのカンクーンのとある海岸は、長い年月の間に砕かれた、ピンクのコンク貝が砂と混ざって、ビーチを淡いピンク色に染めていたし、ジャマイカのサンスーシ・ビーチも、ピンクがかった美しい砂浜だ。
だけど、街ではどうだろう?
街中でも、これほどピンクがマッチする場所は、他に無いと思う。
ちょっと話は逸れるのだけど、10年ほど前の事。
横浜の田園都市線のとある新興住宅地で、ピンク騒動というものが、起こった。
うろ覚えの当時の新聞記事を思い出せば、静かな住宅地に突如として現れた、外壁がピンク色に塗られた建物。
それに驚いた近隣住人が、
「ピンク色の建物など、まかりならん!
下品だし、環境破壊も甚だしい!
住民は迷惑しているので、即刻色を変更すべき!」
と、大騒ぎ。
そんな、内容だった。
残念ながら、その後このピンクマンションの結末がどうなったのかは、知らない。
だけど、騒動を起こした住人たちは、ハワイでもやはりピンクを避けるのだろうか?
ピンクで塗られた、別名「ピンク・パレス」ロイヤル・ハワイアン・ホテルに近寄る事など、全く考えられないのだろうか?
[ロイヤル・ハワイアン・ホテル]
おそらく、答えはノーだと思う。
ハワイの光線に、ピンクは実によく映えているし、下品とか環境破壊だとか、そんな言葉とは無縁。
それに、ハワイのピンクはあまりに街に溶け込みすぎていて、ピンクの存在に気が付かない事だってある。
それだけ、ハワイがカラフルな色に溢れている証拠では、ないだろうか?
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ハワイで見るピンクは、旅人を和ませてくれる役割を、持っているように思う。
移動途中の味気ない道路に、まるでアクセントのように咲いている、ブーゲンビリア。
この鮮やかなピンクは、ドライバーの目を和ませ、退屈な運転から救ってくれる。
[ブーゲンビリア]
ハワイには何度も行っているのに、ブーゲンビリアの事をほとんど知らない、という事に気付き、いい機会なので、花の本の類を読んでみた。
すると、本来野生のブーゲンビリアとは、街中で見かける程度しか生えない、らしい。
ところが、ハワイでは気候がいいので、どんどん育つ。
大木に絡みつくように伸びて生えているその様子は、まるでブーゲンビリアの巨木のようにも、見える。
住宅の庭先や、ホテルの中庭。
プールサイドの植え込みや、レストランの窓越し、あちらこちらで見る事ができる、ハワイを代表する花、ブーゲンビリア。
街を彩ると共に、その存在に気付き、立ち止まった旅人に、
「あなたは、とても魅力的ですよ」
と、自らの花言葉を投げかけ、癒してくれているかのようでも、ある。
【画像出典】



