2024/1/18 ハワイの50の宝物④ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

『JET STREAM』


作家が描く世界への旅。


今週は、自然写真家、高砂淳二のフォトエッセイ集『ハワイの50の宝物』より 一部編集してお送りしています。


今夜はその第4夜。


祝福として、ハワイから2つの宝物を、お届けします。


『JET STREAM』の番組WEBサイトでは、高砂淳二が撮影した写真も、ご覧いただけます。


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ハワイでは、レイはアロハのシンボルであるとされ、挨拶や友情、愛情などの印として、お互いに何かの記念日やパーティー、お祝いなどの時にプレゼントし合っている。


スポーツの試合などの時には、優勝した選手が、応援に来ていた友人たちにレイを貰い、あまりにもレイの数が多くて、頭がほとんど隠れてしまう事もあったりするほどだ。


[レイ]


マレイは神聖な気高さを表す葉で、ピカケは愛情を表す花、という具合に、レイに使う花や葉は、それぞれ意味を持っている。


元々レイは、花で出来たものだけでなく、貝やナッツ、葉っぱ、鳥の羽根、骨、海草など、色んな物から作られていた。


古いものには、マッコウクジラの歯をフックの形に削って作られた、酋長クラスの人が身に着けるような、珍しいレイもあったようだ。


最近は、キャンディーやドル紙幣などのものまである。


先日僕は、カナダの先住民の友人に会いに行ってきたのだけれども、別れ際、100年以上前の酋長が着けていたものという、先祖から伝わる大事な首飾りを、僕にくれた。


それは、フック状に曲がったイーグルの爪と、その間にムースの歯が入ったもので、見るからにパワーの詰まった、威厳のある首飾りだった。


先住民たちの住んでいる場所は、もっぱら荒涼とした砂漠のような場所が多いからか、花で出来た首飾りは見た事が無いけれども、ハワイの古い酋長がしていたものと同じようなものを、カナダの先住民の酋長も着けていたというのは、なかなか興味深い事ではある。


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ハワイアンは時々、急に雨が降ってきたりすると、


「ブレッシング(祝福だわ)!」


と言ったりする。


自然現象には何かしら意味がある、とするハワイアンたちの雨を表す言葉は、なんと300ほどもあるらしい。


[雨]


古くから伝わるハワイの詠唱や伝説では、雨は感情や物事を象徴的に表すものと見なされ、軽い霧のような雨は、喜びや生命、成長、青葉などを表し、激しく冷たい雨は苦難や無関心、喪失感、悲しみなどを表す。


例えば、軽い雨として、キリイ、ホオキリ、リリノエ、リハウ、ウワオア、まだまだある。


風に運ばれる美しい雨は、レレフナ、レレ、ウワ・レレアカ、レレフネ。


冷たい雨は、キリハウ、ウアアワ。


にわか雨は、ウワ・ナウル、パキオ、パキオキオ。


土砂降りは、ウワラニピリ、ウワロク。


大粒の雨は、ウワヘキリ、パカク。


飛沫のような雨は、エフ。


ふぅ〜、こんな感じでまだまだある。


また、雨を表す言葉の中には、特定の植物や動物、地名などを入れて、独特の性質や雰囲気を詩的に表しているものも多い。


例えば、カウアイのルカコと呼ばれる雨は、「熟したサトウキビの茎から、乾いた葉を取り去る」という意味を持つし、オアフのポワイハラは、「谷間を巡る深い霧の中の、パンダナスの木」という具合だ。


雨や風、晴れといった天気は、日本語では文字通り"天の気"。


ハワイアンたちは昔から、天の気と人間の気や自然の気が関わり合って、気象として現れている、と捉えてきたのだろう。


そんな観察力も凄いけれども、雨だけでこんなにイマジネーションを膨らませる事ができる感性も、本当に凄いと思う。


【画像出典】