2023/2/23 光と虹と神話④ | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

JET STREAM


作家が描く世界への旅。


今週は、自然写真家 高砂淳二の世界の絶景・秘境をテーマにしたフォトエッセイ集『光と虹と神話』より、一部編集してお送りしています。


今夜はその第4夜。


色鮮やかな魚が舞う、パプアニューギニア・アロタウ地方の海。


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パプアニューギニアは、パプアとニューギニアが一つになって出来た国だ。


しかしこれは、世界大戦後の植民地支配による分け方であり、そこに住む人々はそんな事には関係なく、800にも及ぶ部を単位として、それぞれの言語を使って生活している。


昔から部族に伝わる仮面やボディペイント、鳥の羽根などの装飾を施して、彼らは冠婚葬祭や宗教儀式などの時に踊る。


パプアニューギニアは日本から見て、オーストラリアよりも手前にあるにもかかわらず、そんな彼らの姿や踊りを見ていると、ずーっと遠い国の人たちのような気がしてくる。


しかし、そんな部分は、ほんの一面でしかない。


強面の男性も、カメラを向けると、調子に乗ってはしゃぐ。


「もっと撮って」


と言いながら、子供たちはずーっとついて回る。


撮影しながら、元気を貰える。


楽しい、南の島の人たちだ。


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多様な民族が、それぞれの言語で分かれて暮らすパプアニューギニアでは、民族間の争いが多く、また意思の疎通がままならない事もある。


そこで、お互いの紛争を避けたい思いから、色んな知恵が生まれていると聞く。


美しい珊瑚の海で有名なアロタウ地方では、ネックレスの約束というのが、ずっと守られているという。


[アロタウ地方]


ある部族で食べ物が無くなり、困った状況になると、近隣の部族にネックレスを贈る。


ネックレスを贈られた方は、すぐに芋類、魚、家畜などの救援物資を、贈り返す事になっているというのだ。


お互いの部族が生き残るための、相互扶助的な暗黙の取り決めだ。


また、それを続ける事で、お互いの信頼関係や、コミュニケーションを保つ事にもなるのだろう。


言葉のいらない、助け合いシステムだ。


それから、パプアニューギニアには、魔力や呪いなどの、いわゆるブラックマジックのような事を行う呪術師がいて、魔女狩りがいまだに残っているとの事だった。


接触の無い部族間では、お互い何も情報が無いので、自分の部族に何か悪い事が続けて起こったりすると、ついつい


「あそこの部族の呪いに違いない」


とか、


「あの部族には、魔女がいる」


といった、悪い想像が蔓延りがちになる。


そんな時、若い有志がその部族を訪れ、魔女狩りと称して視察し、変な想像を取り去って、関係悪化を未然に防ごう、という事も行われているという。


魔女狩りを逆手に取った、賢いやり方である。


コミュニケーションや気遣いの重要さは、部族同士でも、人と人でも、国家間でも、同じ事。


現代の国際問題にも通用するような、賢い人間の知恵ではないか。


カメラを向けると、みんな喜ぶ。


撮影しながら元気を貰える、楽しい人たちによっての仕方は、様々だ。


【画像出典】