2022/3/9 そら豆 | 福山機長の夜間飛行記録

福山機長の夜間飛行記録

月曜日から金曜日までの毎晩放送されるラジオ番組"JET STREAM"のうち、福山雅治機長のフライト部分を文字に書き起こして写真を貼り付けただけの自己満足ブログです。(※特定の個人・団体とは一切関係ございません。)

イタリアの冬と言えば、暖かなイメージを思い浮かべる方が多い事だろうが、イタリア北部の冬はとても厳しい。


比較的暖かな花の都フィレンツェでも、時々雪が降る事がある。


そんなトスカーナ地方も、3月に入ると、日を追って暖かくなる。


野山は次第に緑の色が濃くなり、フィレンツェの市場では、行く度に春の野菜が増えていく。


トスカーナの春を告げる野菜と言えば、アーティチョーク(ズッキーニの花)。


それと、菜の花の一種、チーマ・ディ・ラーパ。


もう一つ、忘れてならないのが、ファーベ(そら豆)だ。


[そら豆]


イタリアで売られているそら豆は、日本のものよりかなり小ぶり。


特にそら豆の旬は短く、春から初夏にかけてしか、手に入れる事ができない。


イタリア人は、このそら豆が大好きだ。


春先のこの時期、市場に並ぶと、誰もが待ちかねたように真っ先に買っていく。


このそら豆、茹でると思ったら大間違い。


イタリア人は、そのまま生で食べる。


まだ実がなったばかりの、小指の先ほどの大きさのそら豆を、塩をつけながら齧る。


ちょっと甘く、ほろ苦いこのそら豆を口に含むと、春が来たのを感じるそうだ。


フィレンツェで最も人気なのは、羊のチーズ(ペコリーノ)との組み合わせ。


[そら豆とペコリーノ]


まず、そら豆を鞘から取り出し、口に放り込む。


そこですかさず、ペコリーノを一噛み。


こうすると、生のそら豆の苦味と、ペコリーノチーズのコクと塩気が一体となって、なんとも言えない旨味が口に広がる。


生のそら豆とペコリーノを肴に、トスカーナの赤ワイン。


フィレンツェの春を告げる、見事なハーモニーだ。


【画像出典】