現在、世界無形遺産に登録された食文化は、日本の和食をはじめ8件。
フランスの美食術やメキシコの伝統料理、トルコのコーヒー文化などがある。
地中海を囲む国々によって共同提案された、地中海料理もその1つ。
[地中海料理]
地中海の温暖な気候で育った野菜や果物に、肉と魚と乳製品、それらをバランスよく使って調理。
ワインを飲みながらゆっくり楽しむのが、地中海の食文化である。
この地中海料理で、最も重要な位置を占めるのが、オリーブオイルだ。
オリーブオイルと言えば、まず一番に思い浮かぶのはイタリアだが、実は世界で生産されるオリーブオイルの半分は、スペインで作られている。
そのスペインで、随一の生産量を誇るのが、アンダルシア地方の町ハエン。
[ハエン]
世界で消費される30%以上のオリーブオイルが、この町の周辺で作られている事から、ここハエンは"オリーブオイルの都"と呼ばれている。
ハエンの郊外、なだらかな丘に広がる、見渡す限りのオリーブ畑。
[オリーブ畑]
まさに、"オリーブの海"と呼ぶにふさわしいその壮観な風景を眺めたら、しばらく声も出ないで佇む事だろう。
このハエンのオリーブオイル、昔は質よりも量。
口の悪いイタリア人が、「猫のおしっこ」と呼んだほど、評判が悪かった。
しかしながら、世界一を目指そうとするオリーブオイル生産者が、次々と登場。
これを、スペインのスターシェフ達が後押しして、今では高品質なエキストラバージンオリーブオイルが採れるようになった。
ちょうど今頃は、夏の太陽を浴びてたわわに実ったオリーブが、アンダルシアの風に揺れている事だろう。
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