先週、フラによく登場する、火の女神ペレの妹ヒイアカについて話をしたが、そのペレの妹ヒイアカには、「引き潮」や「満ち潮」、「天国」や「熱い浜」と、それぞれ名が付いており、その数は30人を超えていた。
その中で最もペレが愛したのは、心優しく美しかった、一番下の妹。
天の父と大地の母の間に、卵の形で生まれ、ペレがその卵を温めて育てた事から、"ヒイアカ・イカポリオ・ペレ(ペレの胸に抱かれたヒイアカ)"と呼ばれている。
[ヒイアカ・イカポリオ・ペレ]
"緑の女神"とも呼ばれるそのヒイアカには、緑豊かなカウアイ島に、こんな伝説が伝えられている。
[カウアイ島]
ある日、ペレは突然9日間程、眠りにつく。
その夢の中でロヒアウという青年に出会い、愛し合うようになる。
眠りから覚めたペレは、もう一度その青年に会いたいと、妹達に願った。
だが、移り気なペレの性格を知っていた妹達は、相手にしなかった。
ただ一人、緑の女神のヒイアカだけはその願いを聞き入れ、青年を迎えに行く事になる。
長い旅路の末、ヒイアカはカウアイ島に辿り着いたが、既にその青年は死んでいた。
そこでヒイアカは、魔法の力を使って、青年を生き返らせた。
蘇った青年は、既にペレとの愛を忘れており、誠実で美しいヒイアカを、一目見て恋をして、二人は結ばれるのだった。
二人の結婚を知ったペレは、嫉妬に狂い、炎と溶岩でカウアイ島を襲った。
そんなペレの襲撃にも耐えて、二人は仲良く、幸せに暮らしたという。
今もカウアイ島が緑に溢れているのは、この緑の女神ヒイアカに、見守られているからなのだろう。
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