17世紀まで、この国の都が置かれていました。
町の中心部にある中央広場の周りには、ポーランド王国の名残を留める数多くの歴史的建造物が立ち並んでいます。
その一つが、聖マリア教会。
高さ80メートルを誇る、2つの塔を持った壮大なゴシック様式の教会です。
この塔の上から、毎日1時間ごとにラッパが吹き鳴らされます。
時を告げるそのラッパは、塔の上にある3つの窓でそれぞれメロディーを奏でた後、4番目の窓から吹き鳴らされる途中でその音を止めます。
どうしてラッパは、尻切れとんぼに終わるのか?
実はこのラッパ、13世紀にこのクラクフをモンゴル軍が襲った時に、それを町の人々に知らせるために吹かれたのが始まりです。
ラッパの音が途中で止むのは、塔の上にいたラッパ吹きが吹いている途中で、モンゴル兵の放った矢に喉を射抜かれた事を忘れないためだといいます。
以来700年以上にも渡って、ここクラクフではラッパが吹き継がれているのです。
現在、聖マリア教会のラッパ吹きは7人。
塔の上に上るのは、朝の7時から翌朝の7時まで。
その24時間の間、ラッパ吹きは決して塔を下りる事は許されません。
今もこの町の人々にとって、ラッパ吹きは聖なる仕事。
1時間ごとに吹き鳴らされるラッパは、勇気と誇りの象徴なのでしょう。
ホテルの窓を開けると、哀愁を帯びたラッパの音が聞こえてきます。
そのラッパの音は深い抒情と壮大な歴史のロマンに溢れ、いつしか心の奥深くに染み込んでいくようです。
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