月光条例 5 (少年サンデーコミックス)/藤田 和日郎

¥420
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「赤ずきん」が登場するのはこの巻
(「第12条 赤ずきん」)。
...童話「赤ずきん」と「狼と七匹の子山羊」は
なぜ似ているのでしょうか?
その共通点は、具体的に言えば、物語の終盤で
狼の腹が引き裂かれ、食べられたはずの
人物(「赤ずきん」では赤ずきん本人と
祖母、「七匹の子山羊」では子山羊のうち
六匹)が救助され、代わりに腹に石が
詰められて再び縫合される、という箇所です。
どちらも代表的なグリム童話ですので、
上記のくだりは周知といって良いと思いますね。
どちらも独自に蒐集されたはずの民話であるのに、
作為的なまでに類似しています。
...この類似のなぞを解くヒントは、
「赤ずきん」が、実際にはグリム兄弟によって
はじめて蒐集された物語ではない、ということです。
(原型は17世紀の「ペロー童話集」)
この童話集は、少なくとも上層階級のサロンの子弟には
流布していたものですから、19世紀にグリムが
拾い集めた「赤ずきん」は、このペローによる
説話が、再び北ドイツの野に放たれたもの。。
と考えたほうがよいかもです。
そして、ペロー版赤ずきんは、赤ずきんが
狼に食べられるところで終わりです。
猟師も登場しませんし、驚くことに
赤ずきんがそれとは知らずに祖母の肉を
食べさせられる。。。という描写もあったりします(汗
(「カチカチ山」みたいですねw)
「狼の腹を裂いて再び縫合」の項は、実はグリムによって
加えられたものです。
ここからは私の想像なのですが、兄弟は「赤ずきん」の
結末があまりに陰惨で希望のないことを憂い、
すでに蒐集していた「七匹の子山羊」の結末を
接木したのではないでしょうか?
ここに、私としては、兄弟の苦悩を見ますw
周知のように、グリム兄弟は単なる童話作家ではなく、
ゲッチンゲン大やベルリン大で教鞭を執った言語学者でした。
実証を重んじるあまり、共に後半生を注ぎこんだドイツ語
辞典編纂事業を、そのほんの序盤(「F」の項)で
他界により諦めざるを得なかった兄弟。
また、創作に偏ったその作風を嫌い、兄弟を慕って
訪れた後発の童話作家アンデルセンを追い返したと
伝えられる兄弟。
そんな彼らであっても、原版「赤ずきん」の
理不尽な結末は耐えられなかったのではないでしょうか。。
・・・まあ、そんな彼らの変節のよって、この童話が
ここまで後世に流布する作品になったことも確かですが。
だむ、ですとろい。(謎

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「赤ずきん」が登場するのはこの巻
(「第12条 赤ずきん」)。
...童話「赤ずきん」と「狼と七匹の子山羊」は
なぜ似ているのでしょうか?
その共通点は、具体的に言えば、物語の終盤で
狼の腹が引き裂かれ、食べられたはずの
人物(「赤ずきん」では赤ずきん本人と
祖母、「七匹の子山羊」では子山羊のうち
六匹)が救助され、代わりに腹に石が
詰められて再び縫合される、という箇所です。
どちらも代表的なグリム童話ですので、
上記のくだりは周知といって良いと思いますね。
どちらも独自に蒐集されたはずの民話であるのに、
作為的なまでに類似しています。
...この類似のなぞを解くヒントは、
「赤ずきん」が、実際にはグリム兄弟によって
はじめて蒐集された物語ではない、ということです。
(原型は17世紀の「ペロー童話集」)
この童話集は、少なくとも上層階級のサロンの子弟には
流布していたものですから、19世紀にグリムが
拾い集めた「赤ずきん」は、このペローによる
説話が、再び北ドイツの野に放たれたもの。。
と考えたほうがよいかもです。
そして、ペロー版赤ずきんは、赤ずきんが
狼に食べられるところで終わりです。
猟師も登場しませんし、驚くことに
赤ずきんがそれとは知らずに祖母の肉を
食べさせられる。。。という描写もあったりします(汗
(「カチカチ山」みたいですねw)
「狼の腹を裂いて再び縫合」の項は、実はグリムによって
加えられたものです。
ここからは私の想像なのですが、兄弟は「赤ずきん」の
結末があまりに陰惨で希望のないことを憂い、
すでに蒐集していた「七匹の子山羊」の結末を
接木したのではないでしょうか?
ここに、私としては、兄弟の苦悩を見ますw
周知のように、グリム兄弟は単なる童話作家ではなく、
ゲッチンゲン大やベルリン大で教鞭を執った言語学者でした。
実証を重んじるあまり、共に後半生を注ぎこんだドイツ語
辞典編纂事業を、そのほんの序盤(「F」の項)で
他界により諦めざるを得なかった兄弟。
また、創作に偏ったその作風を嫌い、兄弟を慕って
訪れた後発の童話作家アンデルセンを追い返したと
伝えられる兄弟。
そんな彼らであっても、原版「赤ずきん」の
理不尽な結末は耐えられなかったのではないでしょうか。。
・・・まあ、そんな彼らの変節のよって、この童話が
ここまで後世に流布する作品になったことも確かですが。
だむ、ですとろい。(謎