$CCウェブログ-Marburg


(写真はドイツ中部、グリム兄弟が学んだ大学のある
マールブルグのヘッセン方伯の城。
実はASTERも1ヶ月ほどこの町に滞在したことがあります)

で、「ブレーメンの音楽隊」がなぜブレーメンに行かない
かですが。。。これはやはり、中世から近代にかけての
北ドイツ(=兄弟が物語蒐集を行った地域)においては、
ハンザ同盟都市であるブレーメンは
(同様にハンザ都市のハンブルグなどと並んで)
最も近隣の、「自由」と同義の記号であったのでは
ないか。。。と類推されますね。

荷車を曳けなくなったロバ、置いて鼠を捕まえられなくなった
猫などの、生産手段から切り離された者たちが唯一
生活を持続させられる可能性があるのが、自由都市の
城壁の中ではなかったのか。。。と。

ただ、都市で楽人になるにしても吟遊詩人になるにしても、
そこには既に確固たる技人たちのギルド(座)がある訳で、
ぽっと出の「楽隊員」たちが夢見たような余生を
そこで過ごすことは困難であったでしょう。
そうした意味で、楽隊は永遠にブレーメンに辿りつかない
のでは。。。などと私は邪推してしまうのですが。

二度目の蹉跌を予感しながら、「どろぼうの家」で
楽しく時を過ごす楽隊員たち。その家に、どれほど長く
胃袋を充たし続られるほどのごちそうがあったのかは
不明ですが、一種、それは戯画的な風景でもありますw