以前、組分けは男女混合の偏差値である一方で、合不合判定は男女別であるため、女子にとって合不合の偏差値は組分けよりも高く出やすい問題について取り上げました。


またその際「算数の男女得点差が国語の男女得点差よりも遥かに大きいために、男子>女子となっているのではないか」という仮説が生まれました。


その後、OECDがPISAというジェンダーギャップをグローバルに調べる調査を行っていることを知りまして、その内容が含蓄に富んでいたので、皆様にもシェアさせていただきます。



PISA 2018 Results (Volume II) : Where All Students Can Succeed

Chapter 7. Girls’ and boys’ performance in PISA


まずは“reading”、読解力からです。



右軸は女子−男子のスコア、縦軸がリーディング全体のスコアです。

右軸は全て正の値なので、女子の方が読解力が高いというのは万国共通のようです。

日本のスコアはというと、女子が上回っている度合いはOECD平均より低く、トータルスコアはOECD平均より高い。

つまりは、「日本において、女子と男子の読解力の差は相対的に小さく、皆良くできる」ということでしょうか。



次は、リーディングについて、中学受験に関係のありそうな上位層のデータで、上位1/4と下位1/4の男女がプロットされています。

上位1/4の男女差についても、OECD平均より狭い(あまりリーディングの学力差がない)ことがわかります。



さて、最後にmathematicsです。

ドーン


日本は、数学で上位1/4の点数を取った割合の男女差がOECD先進国の間で最大です。

「男子の方が算数ができる」は多くの国でそうであるものの(一部逆転している国もありますね)、その男女差はOECD平均と比べても非常に大きいようです。



まとめると、冒頭に掲げた仮説は日本においては特に正しいということでしょうかね。


「国語はOECD平均よりも男女差が小さく、数学はOECD平均より男女差が大きい」と。



おわりに…


OECDは、男女の学力差について、別レポートでこんなことを書いています(意訳が過ぎてすみません💦興味のある方は原典を読んでください)




  • 親は、男の子であっても、女の子であっても、学業や将来の志望の全てについて同じようにsupport(支援)し、encouragement(激励のような意?)することができる。しかしながら、PISAの結果はこれが必ずしも行われていないことを示している。
  • PISA調査をした全ての国・地域において、15歳の息子と娘の数学の成績が同じケースを比較すると、「科学や技術、工学、数学などの分野の職に就いてほしい」と願う両親の期待は、娘に対してよりも息子に対しての方が大きいことがわかっている。
  • 香港(中国)、上海(中国)、シンガポール、台湾など、PISAの成績上位国・地域の一部では、女子は数学で男子と同じ成績を収めており、世界の他の大半の国・地域の男子より高得点を挙げている。
  • 学業成績の男女差は、生まれながらの能力の違いによって決まるものではない。

正直、ドキッとさせられました。


娘ちゃんがまだ幼少期の頃、

「まあ、女の子だからそこまでやらなくて(追い込まなくて)良いよね」と、(自分では)優しさのつもりで、とある理系の教育機会を見送った経験があります。あれが弟くんだったら、取り組ませていたかもしれません。


「男女の学力差は、親のマインドに一因あり」


ということでしょうか。


長々と失礼いたしました。


お読みいただき、ありがとうございます🙇