話シリーズです。
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このところ各社の最新式のデジタルカメラでは見かけ上のダイナミックレンジを拡張する機能が実装されてきています。メーカーによって機能名称や選択できるオプションなどに違いがありますが、いづれも類似の機能と思えます。
(フジは別なアプローチ、シグマは機能未確認)

ほんの一世代前のデジタルカメラでは白飛び・黒潰れ耐性の弱さが問題になることが多かったのですが、最近はこの機能のおかげでかなり余裕が出てきて、撮影表現の幅も広くなってきました。

で、基本的にこのメリットを享受するためには最新式のボディに買い替えないといけないのですが、今使っている機種が買ってからまだ何年も経っていないようだとチョットいやですね。
新機種が出るたびに買い増しているような亀吉層は別として、普通は一眼レフクラスのカメラは少なくとも数年は使いたいものです。

そこでパソコンでの画像処理です。
今日は久々にPhotoshopのテクニック紹介です。

古い機種で撮影した画像でも、あたかも最新のDレンジ拡張機能を適用したかのような絵にすることが目標です。

カメラ側に用意されているDレンジ拡張機能は、それこそ一発設定すればそこそこ上手くやってくれますので、画像処理のほうもある程度簡単でなければ代替ににはならないでしょう。
従ってトーンカーブやマスキングを駆使するような上級者向けの手順は今回はやりません。

流れはこんな感じです。
(1)Photoshopの起動と画像ファイルの読み込み
(2)メニューから[イメージ]-[色調補正]-[シャドウ・ハイライト]を選択
(3)スライダの調整

イメージ 1


スライダはハイライトは一旦完全にオフにします。
シャドウも補正量は50%以内くらいから始めたほうが自然です。
補正量のほかにピクセル数やブロック数を決めるスライダもありますが、詳しく判らなくても適当に左右に振ってみて好みの位置に配置するだけでOKです。
なお、色調補正はシャドウ調整した部分にだけ掛かる補正です。

これで、ハイライト部分に影響を与えないで暗部を自然に持ち上げることができました。
最新式カメラのダイナミックレンジ拡張機能もこれに近い感じです。

トーンカーブやガンマ補正などのテクニックを使ってもOKですが、その場合は相当なテクがないとハイライトや中間層の明るさまで影響が出てしまうでしょう。

作例では某ドコモショップの店内の明るさを変えることなく、屋外の沈んだ部分の階調だけを回復させています。ドコモの看板の下あたりとか、赤信号の下あたり、それと左の自動車の奥のほうなどを見ると、つぶれてた部分が浮かび上がってきて見えますね。

修正前
イメージ 2


修正後
イメージ 3


操作自体は簡単で、結果もあっさり上手く行ってしまうのでコレは大した事は無いのではないかと思えてしまいますが、実際にはかなり高度な補正技術です。


なお、画面の例はPhotoshopCS3を使っていますが、CS以上で同等の機能があります。
Elementsでしたらバージョン3以降です。

SILKYPIXでしたらMarinePhotographyの覆い焼き機能が相当します。

ニコンCaptureNXではDライティングという機能があり、これはニコンのカメラボディに実装されているアクティブDライティングと近い物と思えます(推測)。
CaptureXNはニコン専用ソフトではない為、イヤでなければ他の機種を使っていてもJPEG画像をDライティングで同等の処理ができます。