超スローSSに挑戦!
話シリーズ、実話です。

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デジタルカメラを選ぶポイントのひとつに手ぶれ補正機能の実装はもはや当然のキーワードになってきています。

方式や方法論、効果など、詳細はいろんなところで解説されてるのでここでの説明は全部割愛します。w
しくみについて詳しく知りたい人はコチラなどをご参照ください。

機材(カメラまたはレンズ)の持っている手ぶれ補正機能をフルに発揮させようとしたら、それはカメラマン自身が手ブレの発生を最小限に抑えることに尽きます。それによってカタログ値以上の補正効果を引き出すことも夢ではありません。

手ぶれ補正が効果的に働いたり、カメラマン自身の手ぶれ発生が少なければ、通常より遅いシャッタースピードで撮影することが出来ます。
シャッタースピードを遅く出来るということは、次のようなメリットがあると考えられます。
・光量の少ない室内でもフラッシュを焚かないで撮れる(雰囲気重視と迷惑度の軽減)。
・F値を絞ってピントの合う範囲を広げることが出来る(被写界深度の確保)。
・三脚を使用しなくて良くなる(荷物の削減と迷惑度軽減)。
・動感表現の自由度拡大(水の流れを溶けるようにとかあるよね)。

この他、F値の暗い安いズームレンズが使いやすくなったり、テレコンの使用やマクロレンズの操出等によって多少の露出倍数が掛かっても対応できるなどいろいろでしょう。まぁ撮影の幅が広がるってことです。

で、昔からよく言われているのが「シャッタースピードの手持ち限界(下限)は焦点距離分の1」という定説で、何も工夫しなければまぁ大体そんなもんでしょう。それより遅いSSを切るとブレやすいっていう意味です。

しかし、それでは焦点距離50mmの標準レンズを使用すると、35mmライカ版(135フィルム)換算では75mmで、露光時間の下限は1/75秒になってしまい動感表現もなにもあったものではありません。

そこで今日はちょっとした工夫で手持ち限界の定説をぶち破る実験をしてみます。このような実験は初めてですが、普段の撮影状況から見てそこそこの自信はあります。

目標とする露光時間は1秒とします。50mmの標準レンズをα7Digitalに装着し、シャッタースピードを1秒に設定してブレの無い(とみられる)写真が撮れれば成功です。

まづは構え方。脇を〆ろとかいろいろ言われてますが、そんなの気にしなくて結構です。
そんな並の構え方では定説の突破はおぼつきません。

ストラップを肘の外側に引っ掛けて張り出し、張力を掛けることによって、まるで一脚でも使っているかののように固定できます。

イメージ 1

ポイントはストラップを短くするところです。↑のモデルはサクラです。

ちなみにソニーでは別売りとはいえ、予め短く誂えたストラップも買うことが出来ます。メーカーのロゴさえ気にしなければ他の機種に流用することも可能です(まぁしないでしょうけど)。

ファインダー接眼部のゴムはシッカリ目の上部あたりに密着させます。鼻の頭も背面液晶についてしまってもかまいません。というか、つけてしまいましょう。多少汚れてもあとでふき取ればいいし、予め保護シートでも貼っておけば気になりません。

左手の支え方も重要ですが、慣れてくればココまでの対処だけで軽く1段は遅いSSが切れます。ストラップをだら~っと意味もなく長くし、首から掛けているようではとてもぢゃないですが超スローSSは切れません。

そして最も重要なのがポジション。これは被写体次第というところがありますからそれほど自由にはなりませんが、2本足だけで普通に立っているとブレは大きくなりやすいので、椅子に座るか壁か木などにもたれかかることが出来ればさらに遅いSSが切れます。
屋外撮影で何も無いところでも地べたにどっかり座ってしまえれば勝ったようなもんです。ジュラルミンのカメラケースを使っている人はそれを椅子代わりにしてしまうというのもアリでしょう。

以前、この話を女性フォトグラファーにしたときに「オシャレをしているときはあまりどっかり座りこむのはイマイチで、へたをすると大変野暮なことになってしまいます」という話がありました。

まぁ山に風景でも撮りに行くときはあまりオシャレをし過ぎないというのが一番ですが、小さな折りたたみの椅子を持参したりブランケットでも持っていってガードを固めてくださいとしかいえませんね。
まぁそこまでするなら一脚か小さめな三脚を持っていくのが普通です。w

余談ですが、いまオリンパスのE-410/510のイメージキャラクターで宮崎あおいさん(女優・来年のNHK大河ドラマの主役に決まっている)が写っていますが、TVコマーシャルとかポスターを見ると、モンゴルの草原っぽいところでどっかり腰を据えて撮影している姿が見られます。コレはこれで結構カッコイイのではないでしょうか。こんなところでミニスカでは逆にイマイチですよね。w
まぁ余計なお世話ですが、場所に応じたオシャレというものもあるでしょう。



あと、あまり関係ないですがクラシックギターの演奏スタイルもあまりミニスカなどは向いていません。チェロなんかもそうなのではないでしょうか。要は、やろうとしている事に向いた身なりというものは少なからずあるということです。

また脱線してしまいました。で、実際の撮影ではテーブルや手すりに肘をつくと更に効果的なブレ防止になりますが、そこまでやると若干反則気味な雰囲気なので今回は椅子に座るだけで肘はつきません。

撮影場所はサクラのアトリエ内で、今説明した通り背もたれのある椅子に座っています。一脚を使ったり肘を机についたりはしていませんが、ストラップは肘に掛けています。

定説ではカメラの手ぶれ補正が3段程度効くとしても1/10秒は必要です(まぁこれでも大変なことですが)。

それでは早速ですが、目標のSS=1秒に設定して撮ってみましょう。

どうでしょうか、何枚か練習した後10枚程撮りましたが、大きくブレたのが2,3枚ありましたが、あとは↓のような感じです。若干甘いようですが止まっているようにもみえます。↓の絵は大きくトリミング(拡大)していますので、実際にはもうチョッとシャープ感があると思います。

イメージ 2

α7DIGITAL AF50mm/F1.7
ISO400 シャッタースピード=1秒 F11 スポット測光 露出マニュアル 手持ち撮影

なお連写機能は使っていません。一回ずつ構えなおしています。

しかも、ここで驚愕の事実を発表します。

なんと手ぶれ補正のスイッチはオフにしています。

実はこの領域のSSになると、手ぶれ補正機能は思ったように動かないだろうと予想しました。思い切ってカットしてしまったほうがいいと思います。

換算75mmで1秒だと定説より6段以上遅いSSですね。

ちょっとした工夫だけで定説を打ち破り、さらに各メーカー渾身の力作の手ぶれ補正機能をあっさり凌駕してしまいました。w

実験終ります。