ボケ量の話の続きです。実際のあった会話に基づいていますが多少脚色しています)

「ズームレンズのFが変わらなければもっとボケる筈だ・・・」

うん、概ねその通りだし、中にはそういうレンズもあるよ。

「70-200/F2.8の事だろ?それなら知ってるが猛烈に高いので諦めた」

そうだね、某社の70-200/F2.8は30万円越えてるからな。
カメラと一緒に買ったキットレンズは2万円以内だから価格差十数倍以上になるね。

「なんでわざわざF値を変化させてくるんですかね、F値は小さいまま一定のほうがイイ筈・・・」

うん、でもそれは結構難しいという罠。
そもそもF値は入射瞳径と焦点距離の比率(口径比)を数値化したものだから、レンズの大きさが一定のままで焦点距離だけ動かすと、F値も連動して変化する・・・
数式はこうだ。

「また数式かよ」

大丈夫、今度の式は超簡単だから。

開放F値=焦点距離/入射瞳径

この式だと入射瞳径が一定だと、焦点距離が長くなればF値は大きくなるね。
入射瞳径は被写体側からみたレンズの大きさだと思えばイイ。要は前玉の大きさだな。

「うむー、ぢゃあ70-200/F2.8はズームするとレンズ自体の大きさもデカくなるのか???」

わはは、そんなことはないけどさ。

逆にテレ端の200mmでF2.8になるようなサイズの入射瞳径で設計して、ズームをワイド側にシフトしたときF値が変わらないように絞り機構を変化させ、F値が一定になるように工夫していると思われる。

レンズの前の部分を覗きながらズームすると絞りの大きさは見えるかもしれないけれど、それは組レンズの一部を通して見ている為に屈折して実際の大きさとは違っているから、定規を当てて寸法を測っても徒労に終るからね。

んで、式から見ても、ズームに限らず望遠レンズでF値を小さくするには、大きなレンズが必要になることがわかるな。
例えば、さっきの式を逆算して入射瞳径を求めるなら焦点距離をF値で割ればいい。
→200mmでF2.8とする為には70mm以上の大玉が必要ということになるね。
実際、某社の70-200mm/F2.8のフィルタ径は77mmだから、まぁ近いといえば近い。

イメージ 1

TAMRON SP AS ASPHERICAL XR Di LD IF 28-75mm/1:2.8 MACRO
ズームレンズでF2.8の通しとしてはかなり安いレンズ。
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撮影情報
α7Digital AF50mm/F3.5 MACRO
ISO800 60のF4.5 スポット測光 露出マニュアル WB=5500
(モデル TAMRON 28-75mm/F2.8)

「ところでさ、1:2.8っていうのとF2.8っていうのがあるけど?」

まだ続くのか・・・
1:2.8って書いてあるときは口径比での表記。いわゆる「比」だから○:○みたいない表記になる。
F2.8と書いてあるときがF値での表記。
で、それはまぁ概ね同じ意味として捉えて問題ない。

ちなみに焦点距離はf=135みたいに書くけど、焦点距離の場合はのfは小文字ね。
大文字にするとF値と間違えやすいから。

(文中の式・値は近似値です)
※実際には入射瞳径と組レンズに実装されている前玉のサイズは異なりますし、複合レンズの場合は累積の計算が必要になになりますが雑談レベルとして話を簡略化しています。