(実話に基づいて多少脚色しています)
「デジタル一眼を買ったんですが、全然ボケ味がでてくれないんですよー」
なぬ?ボケ味?その話はちょっと難しい。
そういえば某入門向け写真セミナーの告知文で「ボケ味のコントロール」というフレーズが入っていたので、入門向けにしては随分難しいことやるんだなと思ったら、実際にはレンズの絞り機構を開けたり絞ったりするとことで被写界深度が変わるという撮影技法の説明でした。
要はボケ味ぢゃなくてボケ量のほうね。
まぁそうだろうと思ったけどさ。
要はボケ味ぢゃなくてボケ量のほうね。
まぁそうだろうと思ったけどさ。
で、確かにボケ味のコントロールは難しい。そもそもコントロールする前にボケ質など、レンズごとに違う特徴を掴んでおかねばならない上、コントロールの仕方も単に絞るとか開けるといった絞り機構の操作だけでは自由にならないことも多い。
一方、ボケ量のほうなら多少の工夫だけでほとんど自由にできるぞ。
ボケ量コントロールのヒントはこうだ。

超望遠大口径レンズ(300mm/F2.8など)の絞り開放で被写体に近づいて撮る。
背景は被写体から離すんだ。被写体のすぐ後ろに壁のがあったりしたらボケてもわからないよ。
「超望遠大口径なんてもってないよー、それに有効瞳径ってなんだ?」
だろうな。サクラだってサンニッパなんて持ってない。w
それに、そんな超望遠で近づいて女の子なんか撮ったら目玉しか写らんぢゃろ。
それに、そんな超望遠で近づいて女の子なんか撮ったら目玉しか写らんぢゃろ。
あと、有効瞳径はココでは絞りを開けると考えればイイ。カメラの操作ではF値を小さくする。
で、今使っているレンズは?18-75mm/F3.5-5.6か。イワユル標準ズームだね。
それだと普通に撮るとあまりボケないよ。
それだと普通に撮るとあまりボケないよ。
で、ヒントの1と2は機材の問題だからどうしようもないけど、3と4は撮影手法の問題だから、工夫をすればどうにでもなるぞ。
→被写体に寄って背景を遠ざければイイだけだね。
→被写体に寄って背景を遠ざければイイだけだね。
「でもズームはどうする?テレ端にするとF値は暗くなるよぉ、75mm/F5.6と55mm/F4.5ではどっちがボケる?」
うん、イイところに気がついた。答えは「75mmのほうがボケる」だね。計算式はこうだ。

※許容錯乱円径:0.033、距離の単位は全部mm
ピントの合っている範囲は合焦点の前(+)後(-)があるから、それぞれを計算して最後に足すんだ。
分母にプラス(+)が入っているほうが前方被写界深度、マイナス(-)のほうが後方被写界深度だね。
分母にプラス(+)が入っているほうが前方被写界深度、マイナス(-)のほうが後方被写界深度だね。
75mm/F5.6で被写体距離1.5mとすると、ピントの合う範囲は15cm以下、55mm/F4.5だと20cm越えるね。
被写界深度が浅い=ボケやすい状態といえるね。
被写界深度が浅い=ボケやすい状態といえるね。
「急に面倒になってきたな、もっと寄ったらどうなる?」
式は全部四則演算だけでできるから普通の電卓で計算できるよ。
被写体距離を1mにして75mm/F5.6だと、ピントの合っている範囲は7cm以下。かなりボケやすい。
被写体距離を1mにして75mm/F5.6だと、ピントの合っている範囲は7cm以下。かなりボケやすい。
あと、最後に余談だけど、計算の途中結果で前方と後方の被写界深度を比べると後方のほうが大きくなってることから、これはピントは後ろ側に深く合うということがわかるね。
つまり、多少ピント外したとしても後ピンよりは前ピンのほうが多少マシであるといえるのではないでしょうか。
つまり、多少ピント外したとしても後ピンよりは前ピンのほうが多少マシであるといえるのではないでしょうか。
(文中の数式・数値は近似値です)