間違った成果主義ほど危ういものはない。
世のなかで、効率主義や効率化が進むこと
は結構なことである。
自分としても無駄な時間の使い方や浪費に
は抵抗を感じるほうなので、効率的な仕事
は大好きである。
時間もなるべく効率的に使いたいので、出
かけた時には、いくつかの用事をいっぺん
にすませたいと思うほうだ。
仕事も、一つのテーマには集中的に取り組
み、だらだらと時間を使うのは嫌いだ。
旅行に行っても、欲張って見歩きたいので
ホテルに戻るとくたくたになって食って寝
るだけになりがちだ。
こういう自分だが、最近の成果主義の害毒
にふれいかりを感じていることがある。
それは、日本の高等教育や研究機関に対す
る予算削減の動きや基礎研究の評価の仕方
についてである。
なるべく成果に近いものに予算を割くのは
効率重視の観点からは必要であろう。
しかし、このやり方で従来予算化されてき
た基礎研究をおろそかにするのは間違いで
はないだろうか。
国力の基礎は、一朝一夕で出来上がるよう
な薄っぺらなものではないはずだ。
十分な基礎研究が、大きな発見のバネにな
ることはノーベル賞などでよく証明されて
いる。
寝食を忘れて研究に没頭する研究者の存在
を軽んじてはならない。