昔、職業訓練の学校で就職支援のセミナーの
講師をよくやっていた。
自己分析の時間にエゴグラムやキャリア・ア
ンカーを実施することが多かった。
特にキャリア・アンカーは訓練生の方々に評
判が良かった。
テストの結果の説明の時に8つのタイプの詳
しい内容を説明して自分の該当する2つのタ
イプに注目するように促した。
そしてタイプ別の典型的な人物のエピソード
を話して理解できやすいようにしていた。
そのタイプ別のエピソードのいくつかを以降
、数回に分けて記してみる。
これらのタイプが実際にどのようなものなの
かの理解促進につながれば幸いだ。
キャリア・アンカーの8つのタイプ別のエピ
ソードの一例。
専門能力・職人 テクニカル/ファンクショ
ナル・コンピタンスの例だ。
その人はある中堅の食品会社の40代後半の
研究所の所長だった人。
ある時、企業業績が振るわなくなったのでリ
ストラ対象になった彼を担当することになっ
た。
彼は某有名大学の修士課程を卒業しすぐに食
品会社に入社し学校時代の栄養学の知識を活
かし研究職として勤務し順調に昇進し4,5
年前からは研究所長として5,6人の研究所
員を管理してきた。
早期退職優遇制度に応募して退職し直後から
支援することになった。
退職後の希望は年齢のハンデをよく理解され
ていて、そう高いものではなかった。
ただ自分の専門知識を活かせる研究職や商品
開発を希望していた。
そして、管理職指向はあまり強くなかった。
自主的にある職業紹介サイトに登録するなど
積極性のある活動的な人で、どちらかといえ
ば地場での就職よりは全国区の就職先を望ん
でいた。
ある時、そのサイトからこんな求人情報がき
た。
衣料小売りのチェーンの求人で新規事業の商
品開発担当の求人であった。
希望の年収よりは少し少なかったが、事業拡
大の折には昇給も約束できるとのことで数回
面接し見事、内定した。