昔話の連続で恐縮するが、過去にカウンセラー
の仕事を一度離れたことがある。
そして、事情があって夜行列車に乗った。
いまもあるのかも知れないが、2段ベットの夜
行の寝台車に2人しか乗客がいなかった。
長い夜の徒然に、どちらからともなく話を始め
た。
お互いに、自己紹介のようなものをして缶ビー
ルを飲みながらの少し長い話になった。
相手の男性は、当時30代前半で僕よりも20
才くらい年下だった。
話を聞くうちに、身の上相談のような感じにな
っていった。
彼は、フェリーの機関士だといった。
今回、今までの会社を退職して転職のために上
京するという。
知人の紹介で新しい会社の面接を受けにいくと
いう。
東京のことは余り良く知らないらしく、どこか
不安げだった。
目的地のことを詳しく教えると、安心した様子
だった。
そこで、自分の今回の転身について相談された。
昔のことで、中身はすっかり忘れたが、多分、
相手を安心させようと話を進めたように思う。
話の初めには不安げだった人が、後半には希望
を感じ始めたように思った。
翌日、別れ際に明るく挨拶して列車を離れた彼
に安心したのは、自分のうちにあったカウンセ
リングマインドが満たされたからかもしれない。