50代でリストラにあう人たちは多い。1企
業で数十年過ぎた人々は自分の外側の世界を
ほとんど知らない。
リストラの失意と他の世界に放り出された驚
きは当事者にならなければ本質的には分から
ないであろう。
そこをイメージしなければカウンセリングの
入り口でつまずくように思われる。
中高年を担当する場合に留意しなければなら
ないことがいくつかあると考える。
一つ目は「喪失の儀式」である。
特に50代に入っての初のリストラなどの場
合には20-30年間も同一の企業に属し、
どっぷりと企業文化に浸かって生活してきて
いる訳だ。
その安定感を一瞬で失う。
この喪失感は計り知れない。
このことへの対応が出来なければ、カウンセ
リングは成立しない。
二つ目は「意識改革」。
例えば、長年、管理職ばかりだった人に何か
専門的な能力があるかというとゼロとは言わ
ないが、過去にあった能力は衰え、相当にレ
ベルダウンしていることは間違いない。
中には管理能力だけを必要とする中小企業な
どの求人が無い訳ではないと思うが、そこに
は様々な業界の同種の管理的経験で10-2
0年過ぎたライバルがひしめいている訳だ。
その解決には昔の専門的能力のブラッシュア
ップか新たな専門的能力の獲得での打開策を
必要とする場合が多い。
新しいものに挑戦する意識の芽生えが必要だ。
三つ目は「自己理解」。
中高年は長い職業生活で、多様な能力を獲得
し、その発揮による業績を築盛してきた可能
性が高い。
そのことをきちんと分析し明確に言葉にして
おく必要がある。
キャリアカウンセラーにはそのことをサポー
トする能力が要る。
そのためにはカウンセラー自体が、そうした
多様な能力についての基礎知識を持っていな
ければならないし、少なくとも能力分析の方
法を知っておく必要があろう。
以上のことは、中高年担当の時の必要条件と
言えよう。