現在、俗にいう「ノマド」は自由に職場を選択可能な
安直な仕事場選びの自由というような感じで捉えられ
ていることが多い。
なので「ノマド」から「モバイルボヘミアン」に変更
したいというのが提唱者の主張。
この人達は、海外に生活拠点を持ちながら日本で言論
の仕事をしているが、そのために15年もの長期の準
備時間を持ち貯蓄をし、その上で移住をしたというこ
とだ。
つまり、自分の望む環境や居住地の自由のためには、
その裏での努力は必須とのこと。
私ごとで恐縮だが、私にはこの「モバイルボヘミアン」
のような大事を成す覚悟も意地もない。
ましてや海外で居住する不便さを乗り越える強さもな
い。
ただ、時間をかけるつもりがあれば場所の問題は解決
可能なので、そのことを「ノマド」の真骨頂と考えて
きた。
従って6年間に事務所は3ヶ所目で、移動する度に、
スペースは狭まり場所は中心から離れ(僻地に)、都
度移動のための費用や手間が掛かり、何ひとつ場所移
動のメリットはなかった。
ただ、過去よりも現在の方がずっと使いでがあり自由
がきくと考えている。つまり住めば都なのである。
また、オフィスなどなくても喫茶店、屋外、ちょっと
した場所で文章も書ければメモも可能。事業や仕事の
アイデア作りも場所を選ばず出来るものだ。
そしてこうしたオフィス外での「創造的な仕事」の総
まとめのためのオフィス機能が持てればよいので、現
代は小スペースの「貸オフィス」が流行っているのだ。
つまり、ゲリラ的小組織でも自由な動きと意思決定の
早さで、全く資本力が無くても「ノマド活動」の持続
が可能なのだ。
そして、重厚長大なスペースよりも移動の自由のきく
小オフィスやオフィス代わりのスペースの活用で充分
に仕事ができる訳だ。
それは「モバイルボヘミアン」の基本精神である「創
造的な仕事」の遂行は場所を選ばず、むしろ、その仕
事の質と創造性を維持するエネルギーを如何に保ち続
けるかが課題ということを理解していれば「ノマド」
でも構わないということを示していると思う。
ただ、流行りのコじゃれたカフェでカッコつけてパソ
コンで内容の乏しい「作業」をやっている連中を「ノ
マド」の範疇に入れたくないということには同感であ
る。
それらの連中が真の「ノマド」ではないのは「創造的
な仕事」の遂行には大きなエネルギーが必要で、その
醸成には大きな苦しみが付きまとう、ということに気
付く賢さもないからだ。