19世紀末に、職業カウンセリングの祖とも言うべきパ
ーソンズは、当時起こった産業革命で都市に出てきた地
方出身のわかものの混乱をみて職業ガイダンスを始めた
という。
その時に行われたことがわかもの自身の希望や適性など
と職業との「マッチング」であった。
マッチングは、今日でも職業紹介の基本であり、ハロー
ワークなどでも常態的に行われており、主要な業務とな
っている。
ただ個人の希望や適性等の早飲み込みで、かなり適当な
マッチングを強引に進めているケースも散見される。
本来、慎重に行われるべきマッチングに必要な要素は企
業のニーズの明確化であり、個人の能力の高いレベルで
の「見える化」であろう。
企業のニーズの明確化には求人情報の明確化(現在は不
問という一言で終わっているものも多々ある)が不可欠
であり資格や専門能力や経験以外に、今後は専門以外の
能力(コミュニケーション能力、管理能力、折衝力、企
画力などの能力と性格、個性などの人的要素の複合され
たもの)の明確化もハローワークの求人票などでも将来
的には明確化する方向にあるという。
更に重要になると言われているのが個人の能力の高いレ
ベルでの「見える化」。
このためには、職業能力の多層的な分析(既に職業能力
評価基準が完成している)と個人の達成した成果の分析
から求人側のニーズに応えられる要素の抽出を行いマッ
チングすることが重要になろう。
こうした高度なマッチングの能力を鍛えおくことはこれ
からのキャリアカウンセラーには必須のことである。
現在、よく行われている表面的な観察から「あなたは明
るく元気で挨拶もよいから販売の仕事がいいよ」とか「
地味でコンスタントな仕事が得意そうだから事務の仕事
を探そう」とかいう「お手軽マッチング」とは明確に一
線を画した本当のマッチング能力がこれからは必要にな
る。