これまでの仕事を失うとき、仕事とともに失われるの
は収入だけではない。
仕事を通して成し遂げようとしていた夢、社会的成功、
生活の安定、人間関係が失われる。
さらに会社は自分を守ってくれるという信頼感も打ち
砕かれる。
会社への愛着や依存が大きければ大きいほど「悲哀の
仕事(mourning work)」は大変なものとなる。
上記のことは、過去にリストラや再就職や転職を経験し
た我々の世代では深く理解されていることであろう。
今、失業率が改善され有効求人倍率が引きあがった経済
的な活況が世の中で脚光を浴びている。
しかし、表層の煌びやかさの裏側にあるものを忘れては
いないだろうか。
相変わらず中高年のリストラは行われ、わかものの早期
離職は続いている。
そして非正規の増加は止まらない。
安定感や組織への愛着の欠乏は企業内のモラルを引き下
げ、企業内の不正が特に日本経済を長年支え育んできた
製造業に目立つようになっている。
今更、二宮金次郎でもないかもしれないが誠実で勤勉な
日本人の減少は将来に大きな禍根を残すであろう。