キャリアカウンセラーの質向上に向けて | キャリア・カウンセラー札幌のブログ

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キャリア・カウンセラー札幌の活動内容やキャリア・カウンセラーとしての雑感を記載しています。

キャリアカウンセラーという仕事に就いたのは

10数年前のことだった。

当時は世にリストラブームが満ち溢れ

大手電機メーカーを中心に大幅な人員削減

がよく行われていた。

 

そこで世の中に、アメリカやイギリスからもたらされた

のが再就職支援業(アウトプレースメント=OP).

 

そこでは、当時、世に満ち溢れていた中高年の

早期退職での離職者の支援が

常態化して行われていた。

 

当時は

早期退職者を送り出す企業の

ショックアブソーバーとして

OPの企業が送り早期退職者を送り出す企業と契約して

1人いくらといった

就職達成時の報償金の支払いを

前提とした就職支援が

盛んに行われていた。

そんな状況下、急増で誕生したのがキャリアカウンセラー

という仕事。

 

離職した人の相談にのり、就職活動を助け

再就職に導く、というのが仕事の内容。

 

そこでは、支援の対象者だった人が

活動中にカウンセラーに転じた、という例も

少なくはなかった。

自分がリストラの対象者であれば、

相談者の気持ちが理解しやすいというのも、

その理由の一つだった。

カウンセラーになった人々の多くは

企業の管理職経験者で、

次に送り出される早期退職者も自分と同様の

企業内経験をしている場合が多く

極めて簡単に言うと、

話が通じやすいというのも

相談者がカウンセラーに転じやすい理由だった。

 

そうした社会の動向をいち早く察知して

社会には、キャリア・カウンセラーを育成する講座や

セミナーが次々と誕生していった。

 

そして再就職支援業や公的機関、教育機関での

カウンセラーとしての就職者が

急造され、短期間で職業として成立していった。

 

そして、社会にはキャリア・カウンセラーが満ち溢れたが

短期間の訓練と実戦でのスキルアップでは

おのずと上質なカウンセラーの社会での普及には限界があ

った。

 

そこでは、成果(相談者の早期就職数)の達成に腐心する

カウンセリングが常態化しなかったとは言い切れない。

そして、社会には、本質的なマインドとスキルを具備して

いるとは言い難い、にわかカウンセラーが増えていった。

 

これは、その当時の社会が作り出した、キャリアカウンセ

ラーの負の側面であろう。

 

本来、カウンセリングそのものは社会に欠くべからざるも

のであり個人の自己実現能力を引き出し人生に欠かせない

仕事を通じた幸福の実現させる支援者としてのキャリアカ

ウンセラーは社会において重要な役割を持っている。

 

そこで、今、社会に満ち溢れたカウンセラーに絶対に必要

なものは自分のカウンセリング能力の点検と維持、出来る

限りの能力向上の努力である。

 

しかし、そういう機会が十分とは言えないのも現実。

なぜならカウンセラー養成の機関は私的、利益追求の組織

でフォローアップや普及、啓蒙に注力していないからであ

る。

 

したがって、ボランティアでカウンセラーの普及、啓蒙を

行う組織や機関の増加が待望されているし、そうした趣旨

の団体を存続させなければならないのは自明の理である。

 

そして充分なマインドとスキルを具備したキャリア・カウ

ンセラーを社会に普及させ続けなければならない。