橘木氏はその著書「格差社会」の中で、日本の貧困を世
帯類型別にみると、貧困率が高い世帯はというのは、母
子家庭、高齢単身者、若年層であると指摘しています。
母子家庭は「ワーキングプア」や「生活保護」とも深く関
連し、子供の低学歴化の要因の一つともいえます。
また、最近では子供の貧困問題が深刻化しており、一昨年
、厚生労働省が発表した「子供の(相対的)貧困率」は過
去最悪の16・3%に上り、6人に1人の約325万人が
「貧困」に該当しています。
これは豊かな先進20カ国のうち、4番目の高さにありま
す。
更に、 橘木氏は「教育における公的部門の撤退」の項で
教育費の大幅カットや日本の教育費支出がGDPに占める
比率が世界の先進国の中でも最低の水準であることも指摘
しています。
一方、高齢単身者についても50歳以上の単身者で年金で
生活できない可能性が高い人の割合が4割近いという報道
もあります。
子供の時に、格差社会の荒波にさらされ、人生の大半を過
ぎた頃にも生活苦が待っているとしたら、こういう社会で
希望を持ち生きることは容易ではないのではないでしょう
か。
一部の高所得者の繁栄だけでない、社会の恒久的発展につ
なげる、予算配分(教育費に顕著)と社会的な組織やソフ
トウェアのたゆまざる開発が、今必要とされています。
我々、キャリア・カウンセラーもキャリア教育やキャリア
開発を通じて「個人の満足のいく職業生活の実現」に助力
することで、格差の解消に少しでも役立てればと考えます。