キャリア・カウンセリングの進め方は後に触れるとして、そ
の基本中の基本が傾聴であることは疑いがありません。
傾聴(アクティブリスニング)とは以下のようなものです。
傾聴とは、「ただ黙って聞く」という受動的な行為ではなく
、相手の言いたいこと・訴えたい気持をきちんと受けとめる
、即ち言葉に言い表されている事実や感情は勿論のこと、言
い表されていない話の背景にある心の動きを聴くという積極
的で能動的な行為。
積極的な聞き方(傾聴)とは自分自身や自分の利益のための
聞き方ではなくて、話している人のため、つまり、話し手が
いっそうよく理解し、物事をはっきり考え、自信のある行動
をとれるように援助してあげるような聞き方をいう。
(ロジャーズ)
その効果とは
① 話し手は尊重されていると感じ、聞き手への信頼感を増す。
② 話し手は感情を発散することができる。(カタルシス)
③ 話し手は本心を話しやすくなる。
④ 聞き手は相手が本当に言いたいことを掴める。
⑤ 話し手は自分自身も、自分が語っている話を注意深く聴く
ようになり、それまで自分が気がつかなかった事に気づき、
変化の可能性を生み出す。
その前提条件とは
傾聴の妨げになるのは、相手の話の腰を折って聞き手が言い
たいことを言ったり、話を肯定的にも否定的にも評価したり
することなどである。聞き手は受容的、共感的な態度で聴き
、相手は自分とは違う感情や価値観を持つ個性ある大切な存
在であることを認め、尊重し、受け入れようと努めることが
大切である。
傾聴(アクティブリスニング)の技法とは以下のようなもので
す。
・うなずき、 あいづち
・内容の再陳述
相談者の話の趣旨やその経験・行動・考え・価値観などを
受取り、それをカウンセラーが感じ取った言葉で伝え返す
こと
・要約
話の段階、いくつかの段落あるいはひとつのセッションの
終わりに、話の趣旨をまとめて伝え返すこと
・ 感情の反射
相談者が“今 ここで”感じつつあり表明しようとしている
感情を、評価や偏見を加えることなく、そっくりそのまま
受け取り、返していこうとする応答
・感情の明確化
相談者がうすうす気づいてはいるけれども、まだはっきり
とは意識化していないところを、カウンセラーが言語化す
ること
・開かれた質問
話し手の自由な応答を促すような質問で、相談者は主体的
に発言できるのが特徴で、問題に関して探求し、明確にす
るのを援助するのに役立ち、一般的状況の中から、相談者
にとって関係の深い状況や行動について詳しく話してもら
いたいときに用いる
これらの意味や目的、前提条件や効果を理解しながら具体的
な技法を駆使していくことがキャリア・カウンセリングの基
本中の基本と言えるわけです。
つまり傾聴という基本なくして、キャリア・カウンセリング
は成り立ちえないということなのです。