シュロスバーグによれば、転機(トラジション)を乗り越
えるためには対処のための4Sシステム(4-Sトラジシ
ョン・モデル)を点検、活用すべきであり、それが出来て
初めて転機を上手く乗り越えられる、ということです。
4Sシステムの点検、活用は転機を乗り越えるための重要
なフレームワークです。
4Sシステムの点検、活用は自分の資源(人的資源、物理
的資源、公的資源など)を調べ再確認することともいえま
す。
4Sとは
① 状況(Situation)
② 自己(Self)
③ 周囲の援助(Support)
④ 戦略(Strategies)
のこと。
次から4Sの点検について順次説明します。
1.状況の点検
a.原 因 - 何が転機をもたらしたか(何を
選択したことによって生じたのか)
b.予 期 - 現在の状況は社会的に予測すること
が可能であったか。突然起こったこ
となのか
c.タイミング - 転機は一般社会的な時宜に合っ
たものか(早いか遅いか)
d.コントロール - 転機のうち自分でコントロール
できるのはどの部分か
e.役割の変化 - 転機は個人の役割の変化を引き
起こすものか
f.期 間 - 一時的なものか、永続的なものか
g.体 験 - 過去に同じような転機を経験(乗り越
えた)したことがあるか。
その時の気持ちや状態はどうだったか
h.ストレス - 転機にともなうストレスの程度。現
在の問題以外に抱えているストレス
はあるのか
i.認 知 - その状況をどのように捉え受け止めてい
るのか(自分にとって好機なのか危機
なのか)
2.自己の点検
a.変化への対処に関係する個人的、個人の身上的・人
口統計的な特徴
・社会経済的地位
・性(Gender)
・年齢と人生段階
・健康状態
・民族性
b.変化対処に関係のある心理的資源
・自我発達段階
・物の見方 - 楽観主義、自己効力感
・コミットメント及び価値観
・精神性及び回復力
❒ 自立的に環境に対処できるだろうか。曖昧さを許容で
きるだろうか
❒ 楽観主義者かどうか
❒ 何かが起こったとき自分自身を勇気づけることができ
るか
❒ 転機に対して自分自身をコントロールできると感じて
いるか
❒ 自分の努力によって、その結果に影響を与えることが
できるという信念をもっているか
❒ 意味や目的を感じているか
❒ 立ち直るための助けとなる性格を有しているか
3.支援の点検
a.転機を乗り越えるために望んでいる好意、肯定
、助力を得られているか
b.広い範囲で援助を受けられるか(配偶者、パー
トナー、親しい家族、友人、同僚、同業者、隣
人、組織、他人、団体)
c.その人のもっているサポート資源のうち、この
転機によって失ったり、弱体化されるものはある
か(失業や離婚によって失う友人関係など)
d.自分のサポート資源が転機に対処するために有力
と感じているか、不足と感じているか
4.戦略の点検
a.広い範囲の戦略を使っているか
b.時々は、転機を変化させるような行動をとってい
るか
c.時々は、転機の意味を変えるように試みているか
d.ストレスを楽々と切り抜けるように試みているか
e.何もしない方が良いときがどんなときか知ってい
るか
f.目前の課題に応じて柔軟に戦略を選択できると感
じているか
g.これらをすべて考慮した上で、戦略の程度はどの
くらいか
以上、4Sの点検項目には様々な示唆に富む項目があると
感じます。また、転機を乗り越えるためには周囲の援助の
点検は非常に重要です。