今日は何も無い日………
のはずだった。

ただ自販機にタバコを買いに外に出た
………だけだった。


なのに、ボクは今…


追われている……。


誰なのかは……わからない。

1人を振り切っても、今度は3人…
その3人をまいても、今度は見たこともない乗り物に乗った奴らが次々と……

何なんだ!??

コイツら…人ではないのか……!??

でも…なんでボクが!??

思い当たるコトなんて…
何も無い……

武装した軍団が、街のあちこちから…ボクだけを狙ってやってくる。


どれだけ走ったろうか……

ボクはただ逃げた…。


しかし、もう体力が限界だ。
足が動かない……

迫り来る追手…
見たコトも無い様な銃をボクに向けている……

もう…逃げられない……!!!
ボクは恐怖に怯え、だだ…その場で震えていた。



すると女が運転する一台のバイクがボクの横で止まった。

『早く!!乗って!!事情は後だよ!!』

直感…ってヤツだろうか、ボクにはわかった。
彼女が敵ではないということが…
そしてボクは、そのバイクに乗った。

煙が上がるほど後輪を回転させ、一気に追手の横を走り抜けた。

更に彼女はフルスロットルで一気に走り去る……つもりだった。




『はい、ソコの原付止まりなさい!』
パトカーに止められた。
『だめだよ!二人乗りしちゃ…しかもノーヘルで!?
ちょっと免許出して。』

しかし警官に止められている間にも、追手はどんどん迫って来る……。

瞬く間に、数十人の追手がパトカーとボクらを取り囲んだ。

そしてその追手の一人がその見たこともない銃で、こちらに狙いを定めた。

「危ないっ!!よけて!!!」
彼女が叫ぶと、ボクと彼女はとっさに身を伏せた。

その銃らしきモノからは、凄まじい号音とともに、青白い“イナビカリ”にも似た閃光が逃げ遅れた警官の額に直撃した。

バチバチバチっ!!
ズガーン!!!!



警官の額が少し赤くなった…
だけだった。

『免許を出しなさい!
……えっ!?無いの??!イカツイな、この女。
…ちょっと署まで来なさい!』

パトカーに乗せられるボクと彼女…。
そしてパトカーが発車しようとしたその時!

周りを囲んでいた十数人のヤツらが一斉にフロントガラスに張りつき、前一面が奴らで埋めつくされた!!
そしてフロントガラスを叩き割ろうと、まるで斧の様なその腕を一斉に振り下ろした!!!


警官はワイパーを動かし、そして視界が良好になった。

ボクは署に向かうパトカーの中で彼女からすべてを聞いた…。



彼女は2072年からやって来た、という事……。
そしてボクを追いかけていたのは、その2072年に人類を滅亡の危機に追いやった宇宙テロ組織だという事…。
そしてボクは将来その“宇宙戦争”の勝敗を分ける科学兵器を開発する人物だという事…。
そしてヤツらの狙いは過去にタイムスリップし、昔のボクを抹殺することによって2072年の戦争に勝利する事が目的だという事。

ボクはこの全てを署で警察に話した……。



ボッコボコに殴られた………。
『それ無免許とどう関係がある訳!!?テメェなめんなよ!!』
と。

血だらけのボクを見て彼女は呟いた……。


「進化なんてしない方が人間は強かったのね……」